日本の公的年金制度は、すべての国民が加入する、「国民年金」とその他の「被用者年金」に分けられており、幣制27年10月までは、①国民年金、②厚生年金保険、③国家公務員共済組合、④地方公務員等共済組合、⑤私立学校教職員共済制度の5つの制度がありました。
(被用者とは、他人に雇われている人のことです)
その後、公務員および市立学校職員も厚生年金に加入することになり、年金制度は国民年金(基礎年金)と厚生年金の二階建ての制度に再編されました。
また、公的年金の上乗せとして、企業や個人が任意で加入することができる「私的年金」の制度があります。
現在の年金保険の体系は下図のようになっています。
◆国民年金の概要
・1985(昭和60)年の年金改革により、年金制度の一元化(基礎年金制度の導入)、被用者の妻のすべてに加入を義務付けたことにより、20歳以上60歳未満の全国民が加入することとなりました。
・国民年金の被保険者は、 ①20歳以上60歳未満の自営業者等の非被用者(第1号被保険者)、 ②厚生年金、共済組合の組合員等(第2号被保険者)、 ③第2号被保険者の被扶養配偶者で20歳以上60歳未満の者(第3号被保険者) に分けられます。
学生についても、20歳になった時から国民年金の被保険者となり、保険料の納付が義務づけられていますが、申請により在学中の保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」が設けられています(20歳以上の学生はよく問題にでます)。
・国民年金の給付の種類は、基本的なものとして①老齢基礎年金、②障害基礎年金、③遺族基礎年金に分かれ、このほか④寡婦年金、⑤死亡一時金、⑥付加年金があります。
・老齢基礎年金は、原則として加入期間が25年以上ある者が65歳に達したときに支給されます(20歳~60歳まで40年間保険料を納めた者に満額が支給され、それ以外は保険料を納めた月数により支給される金額が変わります)。
ただし、平成29年8月からは、加入期間25年以上が10年以上に改正され、一定の要件を満たせば年金が受給できるようになりました。
また、本人の希望により60~64歳の期間での繰り上げ支給、65歳以降の繰り下げ支給を行うことができます。当然、繰り上げは減額、繰り下げは増額となります。
・老齢基礎年金では、現役世代の3人で1人の高齢者を支えていると言われています。
◆厚生年金の概要
・厚生年金の被保険者は適用事業所(常時5人以上の従業員を使用する個人事業所、法人の事業所、船舶)に使用されている70歳未満の民間の被用者です。
・厚生年金は、国民年金の基礎年金に上乗せして支給される(支給要件を満たした場合)「二階建て」、の構造になっています。
・厚生年金の保険料は給与から算出される「標準報酬月額」と賞与から算出される「標準賞与額」に保険料率をかけ、被保険者と事業主が折半して負担します。給与と賞与の両方が対象となることを「総報酬制」といい、2003(平成15)年から実施されています。
◆私的年金
・私的年金には、確定給付年金、確定拠出年金、厚生年金基金、国民年金基金があります。
・厚生年金基金と確定給付企業年金は、あらかじめ確定した給付額を賄うのに必要な掛金を企業が拠出、確定拠出年金は、従業員自らが掛け金を拠出して運用する年金です(自営業者等も個人型に加入することができます)。
・厚生年金基金は、平成25年の法改正により、平成26年4月1日以降の新設ができなくなったため、今後は廃止の方向になっています。
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