2012(平成24)年2月に「社会保障と税の一体改革」が閣議決定され、現在さまざまな改革が議論されています。
今後も安定した社会保障制度を維持するために、その財源の確保が大きな問題になっています。現在の日本の状況を大まかに把握しておきましょう。
◆社会保障関係費
社会保障に関連する国の歳出を社会保障関係費といいます。 社会保障の分類同様、社会保障関係費は社会保険費、社会福祉費、生活保護費、保健衛生対策費、失業対策費に分けられています。
これまで社会保障関係費は増加傾向で、平成24年度には一度減少しましたが、その後は増加し、平成27年度予算では、前年度比で1兆 30 億円(+3.3%)の増額となり、2年連続で 30 兆円を超え過去最大規模となりました。
これは、国の一般歳出の55%に当たり、歳出の抑制が課題となっています。
また、社会保障関係費の中では、社会保険費(年金・医療・介護保険給付費)が全体の約4分の3で大きな割合を占めています。
◆社会保障給付費
年金・医療などの社会保険の給付、公的扶助、社会福祉サービスの給付など、社会保障のために国民に給付された費用の総額を社会保障給付費といいます。
これは国際労働機関( ILO )の基準に従ってまとめられており、国民所得に対する比率がその国の社会保障水準を示す指標とされています。
社会保障給付費は毎年増加しており、平成26年度では112兆1020億円で前年比1.3%増でした。
これは、対国内総生産(GDP)比は22.9%で、国民1人当たりの社会保障給付費は88万2,100円、1世帯当たりでは219万4,900円となります。
また、平成26年度の社会保障給付費を部門別にみると、「医療」が36兆3,357億円(32.4%)、「年金」が54兆3,429億円(48.5%)、「福祉その他」が21兆4,234億円(19.1%)であり、医療と年金を合わせて8割を超えています。
なお、日本の社会保障給付費の国民負担率は約4割で、諸外国と比較すると、アメリカよりはやや高いが、ヨーロッパ諸国よりは低い水準となっています。