◆保険者と被保険者
介護保険制度の保険者は、市町村及び特別区(東京23区)であり、介護保険特別会計を設置して、一般会計と区別して管理することとされています。
小規模な市町村については、「広域連合」や「一部事務組合」などの広域自治体でも保険者となることができます。
介護保険の被保険者は、第1号被保険者と第2号被保険者の2種類があります。 下記の要件は、重要ポイントですので必ず覚えましょう。
第1号被保険者
①市町村の区域内に住所を有する(住所用件)
②65歳以上の者(年齢要件)
第2号被保険者
①市町村の区域内に住所を有する(住所用件)
②40歳以上65歳未満の者(年齢要件)
③医療保険加入者
第2号被保険者の住所用件・年齢要件を満たしていても、医療保険未加入の者は介護保険の被保険者となりません。
医療保険未加入者とは、ほとんどの人が生活保護受給者で、介護が必要になった場合は、生活保護法の中の介護扶助でのサービスを受けることになりますが、生活保護受給者の中には健康保険(被用者保険)に加入している人もいますので、「すべて」ではないことに注意しましょう。つまり生活保護を受けていても介護保険の第2号被保険者になり得るということです。
老人福祉施設などに1年以上入所する場合は、住所は施設の所在地になります。また、入院の場合は、1年以上の長期入院が必要な場合を除き、原則として元の住所になります。
(実際には住所を移さずに入所している人は相当数います。)
下記の施設に入所したことにより、施設所在地に住所を移した場合、住所は新しい所になりますが、介護保険の保険者は入所前の市町村となります(そうしないと施設のある市町村の介護給付費が高騰してしまいます)。
何ヶ所施設を移っても保険者は最初の市町村になります。
住所地特例対象施設
(1)介護保険施設(地域密着型老人福祉施設を除く)
・介護老人福祉施設
・介護老人保健施設
・介護療養型医療施設
(2)特定施設(地域密着型特定施設を除く)
・養護老人ホーム
・軽費老人ホーム
・有料老人ホーム
※平成27年4月1日から,有料老人ホームに該当するすべてのサービス付き高齢者向け住宅が対象施設となりました。
在日外国人については、適法に3か月以上在留し、市町村に住所を有すると認められる場合は、介護保険の被保険者となります。
◆保険料
介護保険は、社会保険方式であるため、強制的に保険料が徴収されます。 保険料は第1号被保険者と第2号被保険者によって異なります。
●第1号保険料
第1号被保険者の保険料は、市町村の実情に応じて定められ、市町村が徴収します。
第1号保険料については、一定額(年額18万円)以上の年金受給者は、年金から天引きされる「特別徴収」、無年金・低年金者の場合は、市町村が納付書を発行して納付する「普通徴収」(コンビニでの納付可)の方法で徴収されます。
基本的には「特別徴収」、低年金など特別の場合に「普通徴収」となっており、とても間違いやすい言葉です。十分注意しましょう。
●第2号保険料
第2号被保険者の保険料の流れは以下の通りです・
①医療保険の保険者が医療保険の保険料と一緒に徴収します。
②医療保険の保険者は、徴収した保険料を「社会保険診療報酬支払基金」に介護給付費納付金として納付します。
③社会保険診療報酬支払基金で保険料全体をプールします。
④社会保険診療報酬支払基金で保険料を市町村別に振り分け、介護給付費交付金として各市町村に交付します。
ここでも「介護給付費納付金」と「介護給付費交付金」など、非常に混同しやすい言葉が出てきます。
◆保険料を滞納した場合
被保険者が保険料を滞納した場合、次のような措置がとられます。
・要介護認定を受け、介護保険サービスを利用している場合
①現物給付を償還払いに(1割負担等で利用できず、一旦10割支払う)
②保険給付の支払いを一時差し止める(9割分等の差し止め)
③差し止められた保険給付から保険料を控除する
・要介護状態にない者
・第1号被保険者の場合、滞納機関に応じて給付率を9割等から7割へ引き下げ、高額サービス費の適用を行わない。
・第2号被保険者の場合、介護保険給付の一時差し止めを行うことができる。
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