◆保険給付の財源
介護保険給付の財源は、公費(国・都道府県・市町村の費用)負担が50%、被保険者の支払う保険料が50%となっています。基本中の基本ですので、これは必ず覚えましょう。
公費負担では、国・都道府県・市町村でそれぞれ負担割合が決まっていて、居宅給付費については、国が25%、都道府県・市町村が12.5%ずつ、施設等給付費については、国が20%、都道府県17.5%、市町村12.5%となっています。
これとは別に、市町村の介護保険財政に不足が生じた場合、都道府県は「財政安定化基金」を設置して、市町村に対し資金の貸付や交付を行います。
財政安定化基金の財源は、国・都道府県・市町村それぞれが3分の1ずつ負担します。
また、地域支援事業については、総合事業は介護給付費の居宅給付費と同じ、総合事業以外の事業は、2号被保険者の保険料負担はありません。
◆保険給付の要件
介護保険の給付を受けるためには、市町村から「要介護状態」または「要支援状態」であると認定されることが必要です。
介護保険法における要介護状態、要支援状態の定義は次のとおりです。
・要介護状態
身体上又は精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部又は一部について、厚生労働省令で定める期間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態であって、要介護状態区分のいずれかに該当するもの(要支援状態に該当するものを除く。)をいう。
・要支援状態
身体上若しくは精神上の障害があるために入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部若しくは一部について厚生労働省令で定める期間にわたり継続して常時介護を要する状態の軽減若しくは悪化の防止に特に資する支援を要すると見込まれ、又は身体上若しくは精神上の障害があるために厚生労働省令で定める期間にわたり継続して日常生活を営むのに支障があると見込まれる状態であって、要支援状態区分のいずれかに該当するものをいう。
※厚生労働省令で定める期間は6か月です。ただし、末期がんの場合で、要介護・要支援状態の継続が6か月に満たないと見込まれる場合は死亡までの期間です。
「要介護者」「要支援者」とは、65歳以上の第1号被保険者の場合は、「要介護状態」または「要支援状態」にある者をいいます。
65歳未満の第2号被保険者の場合は、「要介護状態」または「要支援状態」であることに加え、加齢に伴う心身の変化に起因する16種類の「特定疾病」が要介護・要支援状態の原因となっていることが必要です。
つまり、65歳以上であれば、交通事故でも特定疾病以外の病気でも要介護認定等を受けられますが、65歳未満の人は、特定疾病にかかっている人のみが認定を受けられます(要介護認定等の申請書に特定疾病名を書くようになっています)。
特定疾病
①筋委縮性側索硬化症(ALS)
②後縦靭帯帯骨化症(OPLL)
③骨折を伴う骨粗鬆症
④多系統委縮症
⑤初老期における認知症
⑥脊髄小脳変性症
⑦脊柱管狭窄症
⑧早老症
⑨糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
⑩脳血管疾患
⑪進行性核上性麻痺・大脳基底核変性症及びパーキンソン病
⑫閉塞性動脈硬化症(ASO)
⑬関節リウマチ
⑭慢性閉塞性肺疾患(COPD)
⑮両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
⑯がん末期
あまり聞きなれない病名もあって覚えにくいと思いますが、代表的なものだけでも覚えるようにしましょう。
特に注意しなければいけないのが③、⑨、⑮です。 骨粗鬆症、糖尿病、変形性関節症の病気にかかっているだけでは該当せず、それぞれ「骨折を伴う」「神経障害・腎症・網膜症」「両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う」という条件付きです。 問題文に病名だけが出されていたら×ですので注意しましょう。
また、「がん末期」は、加齢に伴って心身の変化が起こるものとは限りませんが、ターミナルケアの充実の観点から、平成18年4月に特定疾病に加えられました。
※もう一つ「要介護」「要支援」で注意しなければならないことがあります。
それは、両者は別のものだということです。
問題文に「要介護者等」と書いてあったら、それは「要介護者」と「要支援者」の両方を指します。
「要介護者」と書いてあったら、それは「要介護者」だけを指すのであり、「要支援者」は含まれません。
「要介護者」「要支援者」「要介護者等」という語句が出てきたら、それが「要介護者」「要支援者」それぞれに限定されたことなのか、両方に関することなのか、よく注意して問題文を読まないと、思わぬ落とし穴にはまることになってしまいます。
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