介護保険の給付を受けるためには、市町村から要介護・要支援の認定を受けなければなりません。ここでは、申請から認定までの流れを確認しましょう。
よく出るキーワードがたくさん出てきます。とても問題に出しやすいので、注意して覚えましょう。
①要介護・要支援認定の申請
要介護認定等の申請は、本人または家族が市町村の窓口で行います。
また、地域包括支援センター、指定居宅介護支援事業者、介護保険施設、地域密着型介護老人福祉施設のほか、社会保険労務士などが代行して申請することができます。
このとき、申請書と介護保険被保険者証を提出しますが、40歳以上65歳未満の人は、医療保険の被保険者証を提示します。2号被保険者の要件である「医療保険に加入」を確認するためです。
②認定調査
新規認定や区分変更認定の場合は、原則として市町村の職員である認定調査員が訪問し、認定調査票に従い、調査を行います。
更新認定の場合は、居宅介護支援事業者、地域密着型介護老人福祉施設、介護保険施設、地域包括支援センターまたは厚生労働省令で定める介護支援専門員に調査を委託することができます。
認定調査票は概況調査、74項目の基本調査と特記事項からなっており、概況調査には住所、氏名、利用しているサービス、調査員名など、基本調査は心身の状態や介護の方法などの2択~4択、特記事項に基本調査の選択根拠や介護の手間に関すること、頻度などを記入します。
③主治医意見書
認定調査と並行して、かかりつけ医(主治医)主治医意見書が送られ、主治医は医学的見地から主治医意見書を作成して提出します。 主治医がいない場合は、市町村が指定する医師の診察を受けて主治医意見書を作成します。
④一次判定
認定調査票の結果をコンピュータで集計し、全国一律の基準で「一次判定」が行われます。
⑤二次判定
市町村は、認定調査票と主治医意見書のデータをもとに、「介護認定審査会」に審査・判定を求めます。
介護認定審査会では、非該当、要支援1・2、要介護1~5のどの区分に該当するかと認定有効期間を判定します。
また、介護認定審査会では、「認定の有効期間を原則より短くあるいは長くする」「要 介護状態の軽減又は悪化の防止のために必要な療養についての意見」を付することができます。
介護認定審査会は、保健・医療・福祉に関する学識経験者5名程度で構成される合議体で、委員は市町村長が任命します。
※「介護認定審査会」と、要介護認定に不服がある場合に不服に対する審査を行う「介護保険審査会(都道府県に設置)」とはよく似た名称で、問題にもよく出ますので注意しましょう。
⑥認定結果の通知
市町村は、介護認定審査会での審査・判定結果に基づき、要介護・要支援認定を行い、原則として30日以内に被保険者に通知します。審査判定のための書類が揃わない、などで30日以内に通知ができない場合、市町村は遅れている理由を記載した「要支援・要介護認定等遅延通知書」で遅れていることを通知します。
※ここで注意しなければいけないのが、「介護認定審査会は認定はしない」ということです。介護認定審査会の行うことは「審査・判定」であり、「認定」を行うのは市町村です。
◆要介護認定等の関連事項
①要介護認定等基準時間
要支援1・2、要介護1~5の区分は、介護にかかる手間を時間で表した「要介護認定等基準時間(実際にかかる時間ではありません)」によって決められます。
このうち、要支援2と要介護1はともに基準時間が32分以上50分未満で同じです。
(要支援1は25分~32分、要介護2以降は20分刻みで時間が足されます)
要支援2と要介護を分けるには、「認知機能の低下の評価」と「状態の安定性の評価」を行い、認知症などで新予防給付の利用に係る適切な理解が困難な場合や、疾病により短期間で心身の状態が変化することが予測される場合などは「要介護1」と判定され、それ以外の場合は要支援2となります。
②要介護認定の効力の発生
要介護認定がなされると、その効力は申請日にさかのぼって適用されます。
③要介護認定等の更新申請
要介護認定等の有効期間満了の60日前から「要介護・要支援認定更新認定」の申請をすることができます。
④要介護認定等の有効期間
要介護認定等の有効期間は原則6か月です。 6か月でないのは、更新認定でなおかつ「要支援→要支援」「要介護→要介護」の場合で12か月です。
更新認定では3~24か月の間で短縮または延長することができ、区分変更の場合は3~12か月の間で設定が可能です。なお、新規申請の場合は3~6か月で短縮のみです。
有効期間は今まで何度か変更になっています(今回は平成27年4月から)。古い参考書などを使っている方は注意しましょう。
⑤介護認定審査会
介護認定審査会は、市町村に設置することとなっていますが、複数の市町村による共同設置や広域連合の活用、都道府県に審査判定を委託することも認められています。
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