(1)健康日本21
我が国では、高齢化の進展や生活習慣病の増加など、国民の健康増進が課題となっている中、健康づくりや疾病予防を積極的に推進するための環境整備を進めるため、2000(平成12)年に、国民健康づくり運動として「健康日本21(21世紀における国民健康づくり運動)」が開始されました。
「健康日本21」では、早期発見、早期治療という二次予防でなく、疾病の発生を防ぐ一次予防に重点を置くとともに、生活習慣病等の予防、壮年期死亡の減少、健康寿命の延伸などを重視しています。
また、2013(平成25)年からの10年間を期間とする「第2次健康日本21」がスタートし、以下のような基本的方針が示されています。
●健康日本21(第2次)の基本的な方針
- 健康寿命の延伸と健康格差の縮小
- 生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底(NCD(非感染性疾患)の予防)
- 社会生活を営むために必要な機能委の維持及び向上
- 健康を支え、守るための社会環境の整備
- 栄養・食生活、身体活動・運動、休養。飲酒、喫煙、歯・航空の健康に関する生活習慣の改善及び社会環境の改善
●健康日本21(第2次)の主な目標
- 平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加
- 食塩摂取量1日10g未満、野菜摂取量350g以上、果物摂取量の増加)
- 1日に男性9000歩、女性8500歩以上歩く(高齢者は男性7000歩、女性6000歩)
- 80歳で20本以上自分の歯を有する人50%以上、60歳で24本以上自分の歯を有する人70%以上
また、「健康日本21」を中核とする国民の健康づくり・疾病予防をさらに積極的に推進するため、医療制度改革の一環とし「健康増進法」が2002(平成14)年に成立、公布されました。
これによって、不特定多数の人が使う施設においての「受動喫煙の防止」(努力義務)などが定められました。
(2)生活習慣病予防
食事、運動、休養、喫煙、飲酒などがその発症に大きく影響する疾患の総称を「生活習慣病」と呼んでいます。
日本の疾患別死亡者数の上位を占める、がん、心臓病、脳卒中は3大生活習慣病と言われています。
このほか、高血圧、脂質異常症、糖尿病、高尿酸値血症、肝機能障害や肺気腫、歯周病なども生活習慣病です。
生活習慣病の中でも、高血圧、脂質異常症、糖尿病は内臓脂肪の蓄積がそのリスクを増大させるため、近年では、生活習慣病対策としてメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の考え方が重要視されています。
似たような言葉として、「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」がありますが、これは運動器の障害で自立度が低下し、介護が必要になる危険性が高い状態のことを指し、「健康日本21(第2次)」でもその対策が重要視され、2022年までにこれを認知している国民の割合を80%に増加させることが目標となっています。
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