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生活保護制度・制度の概要

 

生活保護制度は、社会保障制度の中で公的扶助に位置付けられ、全ての国民に対して「最低限度」の生活を保障するとともに、「自立の助長」を目標としています。

 

我が国の生活保護受給者は年々増加しており、大きな社会問題となっていますが、

平成28年12月時点での生活保護受給者は、前月から680世帯増の164万205世帯となり、過去最多となりました。

1人暮らしの高齢者世帯の増加が主な要因とされ、受給者数自体はは263人減の214万5667人でした。

 

 世帯別では、65歳以上の高齢者世帯が前月から644世帯増の83万8386世帯で、生活保護を受給している世帯のうちおよそ半数が高齢者世帯となっています。

 

このような社会的背景を反映して、様々な困りごとを抱える生活困窮者の自立を促すため、平成25年に「生活困窮者自立支援法」が制定されました(施行は平成27年)。

 

まずは、生活保護法の概要についてみていきましょう。

 

 

(1)救貧制度の発展

 

わが国で最初の統一的な公的扶助制度は1874(明治7)年の「恤救(じゅっきゅう)規則」です。 当時の救貧政策は、血縁的な助け合いの精神を基本としており、恤救規則では、それに頼ることができない身寄りのない者、労働不能の70歳以上の者、障害者などを対象とする限定的なものでした。

 

その後、1929(昭和4)年に「救護法」を経て、1946(昭和21)年に「旧生活保護法」、1950(昭和25)年に現行の「生活保護法」が制定されました。

 

現行の「生活保護法」は、憲法第25条の「生存権」を具現化する法律であり、国家の義務として、生活に困窮するすべての国民を対象としています。

 

生活保護法はとても出題されやすい分野ですので、用語の意味などをしっかり覚えましょう。

 

 

(2)生活保護の原理・原則

 

生活保護には「4つの原理」と保護を実施するための「4つの原則」があります。 どれも重要ですので、その意味も合わせて覚えましょう。

 

◆生活保護の原理

 

  1. 国家責任の原理
    すべての国民に対し、国家責任のもとに、必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともにその自立を助長する。
  2. 無差別平等の原理
    すべての国民は、身分や困窮の原因などによらず、無差別平等に保護を受けることができる。
  3. 最低生活保障の原理
    この法律により保障される水準は、健康で文化的な最低限度の生活を保障するものである。
  4. 保護の補足性の原理
    保護は、保護を受ける人が利用しうるあらゆる資産や能力、扶養義務者の扶養、他の法による扶助を活用しても、なお最低限度の生活ができない場合に補足的に行われる。

 

◆生活保護の原則

 

  1. 申請保護の原則
    保護は、要保護者、その扶養義務者又はその他の親族の申請に基づいて開始する(申請がなければ開始しない)。ただし、要保護者が急迫した状態の場合は申請がなくても保護を行うことができる。
  2. 基準及び程度の原則
    保護は厚生労働大臣の定める基準により測定した需要に基づき、その人のもつ金銭等を活用した不足分を補う。
     この基準は、年齢、性別、世帯構成、所在地その他保護の種類に応じたものが定められている。
  3. 必要即応の原則
    保護は、要保護者の年齢、性別、健康状態等による実際の必要性に応じて、有効で適切に行われる。
  4. 世帯単位の原則
    保護は世帯を単位として行われる。ただし、これによりがたいときは個人を単位とすることができる(世帯分離)。

 

 

(3)保護の種類

 

生活保護には8種類の扶助があります。問題に出やすいので必ず覚えましょう。特にすぐに思い浮かばない、生業扶助や葬祭扶助などは要注意です。

 

  1. 生活扶助
    日常生活の需要を満たすための費用。第1類(個人単位)として食費、被服費等、第2類として光熱水費等がある。
    この他、移送費、地域別の冬季加算、施設入所者の生活費などがある。
  2. 教育扶助
    義務教育に必要な学用品や給食費、交通費等の費用
  3. 住宅扶助
    借家、借間の家賃、自己所有の住居に対する土地の地代などと、修繕費などの住宅維持費
  4. 介護扶助
    要介護状態等にある被保護者が介護サービスを受けた場合に支給される。
    介護保険の被保険者の場合は、補足性の原理により、介護保険の給付が優先され、自己負担部分に対し保護が適用される(施設入所者の食費の負担も保護が適用)。
    被保険者でない場合は、介護サービスが現物給付される。
  5. 出産扶助
    助産及び分娩に伴って必要となる衛生材料費等
  6. 生業扶助
    生業費(小規模の事業を営むための資金・器具・資料等)、技能習得費、就職支援費(就職に必要な洋服類等の費用)
  7. 葬祭扶助
    被保護者が死亡した場合の遺体の検案、運搬、火葬、埋葬等の費用
  8. 医療扶助
    入院、診察、手術、薬剤、治療材料、移送費等
    保護には、必要な物品を購入するための費用を金銭によって給付・貸与する「金銭給付」と、金銭以外の物品や医療、介護などのサービスを給付・貸与する「現物給付」の方法があります。
    保護の8種類のうち、介護扶助と医療扶助は原則として「現物給付」、それ以外は原則として「金銭給付」により給付が行われます(ともに例外あり)。

 

 

※介護扶助についての補足

 

生活保護と介護保険の関係は、出題されやすいので整理しておきましょう。

 

まず、65歳以上の人と40歳以上65歳未満の人で医療保険加入者の場合は、介護保険の被保険者となりますので、補足性の原理によって介護保険が優先されます。

 

介護保険のサービスを利用した場合は、9割を介護保険から、1割の自己負担を生活保護の介護扶助から支給されます(居宅介護支援費は10割介護保険からの支給です)。

 

施設入所者の食費や居住費などの自己負担分も介護扶助からの支給されます。

介護保険の保険料は、生活保護の生活扶助から支給されます。

 

40歳以上65歳未満の医療保険未加入者(ほとんどの被保護者が該当します)は介護保険の被保険者ではありませんので、介護保険の適用もありません。
同様のサービスはすべて生活保護の介護扶助から支払われますし、当然介護保険の保険料は支払いません。

 

 

(4)保護施設

 

保護施設は、居宅において生活を営むことが困難な者を入所・利用させる施設で、以下の5種類があります。

 

  • 救護施設
    心身の著しい障害があるために日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させて生活扶助を行う施設
  • 更生施設
    心身上の理由により養護及び生活指導を必要とする要保護者を入所させて、生活扶助を行う施設で、要保護者の社会復帰を目的とする。
  • 医療保護施設
    医療を必要とする要保護者に対して、医療の給付を行うことを目的とする施設。
  • 授産施設
    心身上の理由又は世帯の事情により就業能力の限られている要保護者に対して、就労又は技能の修得のために必要な機会及び便宜を与えて、その自立を助長することを目的とする施設。
  • 宿所提供施設
    住居のない要保護者の世帯に対して、住居扶助を行うことを目的とする施設

 

(5)保護受給者の権利と義務

 

生活保護受給者の権利

 

  • 正当な理由なく、保護費を減らされるなど。すでに決定された保護の内容を変更されることはない
  • 保護により支給された金品には、税金をかけられたり、差し押さえられたりすることはない

 

生活保護受給者の義務

 

 

  • 届出、指示に従う義務
  • 保護を受ける権利を他人に譲渡することはできない
  • 能力に応じた勤労、支出の節約、生活の維持向上に努めなければならない

 

 

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