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介護における安全の確保とリスクマネジメント6

(4)非常災害対策

 

特別養護老人ホーム等の福祉施設施では、「非常災害に関する具体的計画を立て、非常災害時の関係機関への通報及び連絡体制を整備し、それらを定期的に周知するとともに、定期的に避難、救出をの他必要な訓練を行わなければならない」と規定されています。

 

火災、風水害、地震に対応する計画を立てること、スプリンクラー、自動火災通報装置等の消防設備の設置、訓練等の実施、防火管理者の配置が義務付けられています。

 

2007(平成19)年に消防法の改正があり、グループホームなどの小規模な施設にも、スプリンクラー、自動火災通報装置の設置や、防火管理者の配置が義務付けられました。

 

高齢者や障害者は、災害時に自分を守り、避難をすることが困難です。 高齢者の住宅火災による死亡者の約6割が逃げ遅れによるものとなっており、火災警報器を設置する、カーテンなどに防火品を使用する、消火器を設置する、近隣との協力体制をつくるなどの対策が重要です。

 

(5)緊急時の対応

 

介護従事者は、利用者の人命にかかわるような緊急事態に遭遇することがあります。 そのような場合に介護従事者は、人命救助、状態悪化の防止、苦痛の軽減に努めなければなりません。

 

緊急時に備え、利用者の氏名、生年月日、病歴、服薬状況などの情報を整理しておくこと、緊急時の連絡体制を確認しておくこと、緊急時の対応方法を知ることなどの準備をしておくことが必要です。

 

緊急時は下記のような対応を行いますが、ひとりで行おうとはせず、大声で周囲の人の協力を求めます。

 

①窒息

食べ物が喉につまった場合は、

・本人に咳をしてもらい自然に吐き出す ・利用者の頭を下げ、肩甲骨の間を強く叩く(背部叩打法)

・利用者の背部からみぞおちのあたりに手をまわして腹部を強く上に圧迫する(ハイムリック法)

・意識がない場合は、清潔なガーゼ等で指を覆い、詰まったものを掻き出す、吸引器を使用する という対応をします。

また、 嘔吐した場合も、吐物で窒息しないように顔を横に向け、嘔吐しやすい体勢にします。

 

②呼吸困難

肺や心臓の疾患があると、軽い運動や安静時にも呼吸困難を起こすことがあります。

・衣服を緩めて起座位(座位より少し前かがみ、机に枕を置いて寄りかかる体勢)にする

・身体を前に押すように背中をさすり、呼吸を促す ・意識がない場合は、あごを上げて気道を確保し、呼吸がなければ人工呼吸を行う

 

③やけど

・まず、水道水等で患部を冷やす(無理に衣服を脱がそうとすると患部の皮膚をはがしてしまうので、着衣のまま冷やす)

・冷やしすぎると低体温症(体温が35℃以下になると生命の危険がある)になることもあり、注意が必要

・広範囲・重度の場合は、患部をタオル等で軽く覆い、病院受診する

・湯たんぽなどでの低温やけどの場合は、冷やしても効果がないので、すぐに病院を受診する

 

④転倒

・全身状態(意識があるか、出血・痛みの有無など)を調べる

・意識がない場合は、安静にして、呼吸・脈拍を調べ、救命処置を行うとともに救急車を手配する

・骨折、脱臼、捻挫などの疑いがある場合は動かさずに患部を固定する

・出血がある場合は止血をし、ガーゼや清潔な布をあてて、傷を保護する

・安静にして医師の診察を受ける(頭部を打った場合は経過観察が必要)

 

(6)一次救命処置(BLS)

一次救命処置(BLS:Basic Life Support)とは、倒れて意識のない人や、窒息を起こした人に対して、その場に居合わせた人が、救急隊や医師に引き継ぐまでに行われる救命処置のことです。

 

基本的な手順は、以下の通りです。

 

①倒れている人を発見した場合は、まず、周囲の安全の確認と意識の有無を確認します。

意識の確認は、肩を叩いて大声で呼びかけるなどして行います。

②意識がない場合は、大声で近くの人に助けを求め、救急通報(119番通報)とAED(自動体外式除細動器)の手配を依頼します。

③呼吸の確認を行います。目視で規則的で正常な呼吸が確認できれば、回復体位にする。

※回復体位とは、身体を横向きにし、あごを上げて気道を確保、膝を曲げ、下側の手を前方に伸ばした体位(嘔吐物による窒息を避ける)。

10秒以内に目視での呼吸を確認できない、死戦期呼吸をしている場合は心停止と判断し、直ちに胸骨圧迫(心臓マッサージ)を行う。

※死戦期呼吸とは、しゃくりあげるような不規則な呼吸で、心停止直後に起きる呼吸のこと。これを呼吸があると判断してしまうと、救命のチャンスを逃してしまうことになる。

 

④心肺蘇生法(CPR)を行う

・胸骨圧迫(心臓マッサージ)  胸の真中を両手を重ねて強く、速く圧迫を繰り返す(5㎝沈む程度、1分間に100回以上)。

・気道確保  仰向けに寝かせた状態で、額を押さえてあごを持ち上げる。 異物があれば取り除く。

・人工呼吸  鼻を押さえ、息を吹き込む。感染予防のため、ハンカチなどを介して行う。 胸骨圧迫30回に2回が目安であるが、できるだけ胸骨圧迫中断しない(10秒以内)で行う。

※⑥一次救命処置(BLS)ガイドラインで説明していますが、現在は気道確保、人工呼吸より胸椎圧迫を行うことを優先しています。

 

⑤AEDによる除細動

AEDが届いたら、その音声ガイダンスに従って処置を行います。  体が濡れていたらふき取り、AEDの電源を入れ、電極パッドを胸に付けます。

AEDは、電気ショックが必要かどうかを判断し、自動的に作動します。  その後はCPRを2分間行い、AEDの解析(指示があれば電気ショック)を繰り返します。

 

⑥一次救命処置(BLS)ガイドライン

一次救命処置(BLS)には、ガイドライン2005とガイドライン2010があり、方法が少し異なっています。古い参考書だと、ガイドライン2005に準拠した方法が記載されていますので、注意が必要です。

主な違いは以下の通りです。

・処置の手順がA:AIRWAY(気道確保)→B:BREATHING(人工呼吸)→C:CIRCULATION(心臓マッサージ)だったのが、C→A→Bとなっています。

・気道確保、人工呼吸は訓練された救助者以外は、やらなくてよい。

・呼吸の確認方法について、胸の動きを見て、呼吸音を聞いて、頬で息を感じて(見て、聞いて、感じて)を廃止し、目視での呼吸が確認できない、死戦期呼吸が認められる状態であれば、心停止と判断する。

 

これらは、訓練を受けていない者にとって、胸骨圧迫が最も効果が高く、他の処置で中断されることを防ぐためです(胸骨圧迫だけのCPRでもよいとされています)。 また、ガイドライン2005から脈の確認は不要とされています。

 

このほか、

・胸骨圧迫の位置は、「乳頭間線上の胸骨」から「胸骨の下半分」に、

・胸骨圧迫の深さが、4~5㎝から、5㎝以上に、胸骨圧迫のテンポは100回/分程度から、5㎝以上に、胸骨圧迫のテンポが100回/分から100回/分になりました。

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