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介護場面における利用者・家族とのコミュニケーション4

(2)コミュニケーション障害1

 

コミュニケーション障害とは、発せられた情報を受け取ることから、その情報を認知・理解するまでのコミュニケーションの過程において、何らかの障害があり、コミュニケーションが達成できない状態をいいます。

 

コミュニケーション障害の要因を、その過程によって分類すると、①情報収集の障害、②情報理解の障害、③情報伝達の障害、④情報管理・維持の障害、に分けることができます。

 

また、このような利用者自身のコミュニケーション機能や能力に障害がある場合のほか、生活環境に問題があって情報収集がうまくできない場合にもコミュニケーション障害が生じることがあります。

 

●視覚機能が低下している人とのコミュニケーション

 

視覚に障害のある利用者は、聴覚機能(耳からの音声情報)や触覚機能(指先などが触れることによる情報)などを活用してコミュニケーションを図ります。

 

視覚障害では、言葉によるコミュニケーションはよくとれますが、非言語的コミュニケ―ションが十分にできません。このため会話に消極的になったり、会話のタイミングがうまくとれなかったりしますので、介護従事者は、利用者が言葉で表現しやすいように留意する必要があります。

 

視覚障害のある人のコミュニケーション手段には、①点字、②音声言語、③ポータブルレコーダー、④ハンドライティング(書字用下敷きを使い文字を書くこと)、⑤視覚補助具、⑥弱視眼鏡、⑦拡大鏡、⑧拡大読書器、⑨パソコンなどがあります。

 

点字は、指先の感覚を使って読む文字のことですが、点字の習得は難しく、点字を完全に使いこなせる人は、視覚障害者の1割程度で、中途障害者では、全く理解しない人もいます。

 

点字器(点字タイプライター含む)、点字図書、点字ディスプレイ(パソコン上の文字を点字化する器具)、拡大読書器、ポータブルレコーダーなどは、障害者総合支援法に基づく日常生活用具の対象品目です。

 

●聴覚機能が低下している人とのコミュニケーション

 

聴覚に障害のある利用者は、視覚による情報収集が重要な手段となります。

 

難聴者とのコミュニケーションのポイントは、利用者の正面に立って合図をする、表情や口の動きが見えるように、はっきり、ゆっくり、ジェスチャーをつけるなど、相手に分かりやすいように話しかけます。閉じられた質問を使って、確認しながらコミュニケーションをとることも有効です。

 

聴覚障害者とのコミュニケーション手段には、手話の他、読話、要約筆記、筆談などがあります。

 

読話とは、相手の口の動きや表情から音声言語を読み取り理解することで、中途失聴者でも訓練によって基礎的な読話は習得可能です。

 

要約筆記とは、会議などで話の内容を文字化して情報を伝える筆記通訳のことです。書く速さより話す速さの方が速いため、内容を要約して筆記します。

 

先天性や言語習得前に聴覚障害者となった人は、言葉を音として認識することが困難な場合が多いため、文章の読み書きが苦手な利用者もいますが、手話が上手く、手話を第一言語として使用している人が多くいます。

 

この反面、言語習得後に聴覚障害となった人(中途失聴者)は、言葉を話すことができたり、文章の理解も十分な人が多くいます。

 

しかし、手話の習得は困難な場合が多く、大人になってからの中途失聴者には、手話よりも筆談や要約筆記の方がコミュニケーションを取りやすい傾向がみられます。

 

●運動機能が低下している人とのコミュニケーション

 

コミュニケーションに関連する運動機能として、口唇、舌、口腔、声帯などの機能があります。この発声器官の機能低下により、発音に支障をきたした状態を「発話障害」といい、構音障害も含まれます。

 

構音障害とは、構音(声を出した後言葉を作り出す)器官の障害により、正確な言葉として伝えることができない状態のことで、器質性構音障害(口蓋裂など構音器官の形態障害によるもの)、運動性構音障害(脳血管障害などで構音にかかわる神経や筋肉が障害を受けたもの)、機能性構音障害(形態異常や神経系の障害がなく言語発達の遅れなどが関連するもの)に分けられます。

 

麻痺性構音障害とは、脳卒中や脳性麻痺などの中枢神経障害により、口唇、舌、軟口蓋、咽頭、喉頭など、発声・発語器官の筋肉や神経の病変によって構音障害が生じ、言語が不明瞭になります。

 

構音障害のある人は、話したいことは明確であるのに、うまく言葉で伝えられず、もどかしさを感じています。介護従事者は、言葉にうなずきながら、ゆっくりと話を聴くことが大切です。閉じられた質問を使い、利用者の意思を確認し、理解することも必要です。

 

構音障害のある人のコミュニケーションの手段には、筆談や五十音表、携帯用会話補助器(キーボードを押すと声が出る装置など、トーキングエイド)などのコミュニケーションエイドがあります。

 

筋萎縮性側索硬化症(ALS)など重度の障害をもち、構音障害も生じている場合には、瞼や指先などのわずかな動きで操作ができる、重度障害者用意思伝達装置というパソコンのソフトが利用できます。

 

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