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自立に向けた居住空間の整備2

(4)安全で心地よい生活の場づくり

 

WHO(世界保健機関)では、快適で健康的な居住空間の概念を「快適で健康的な住環境とは、住居が構造的に心地よく、事故による危険性が少なくあたりまえの住生活を送ることができる十分な空間が保障されている環境である」としています。

 

本人の生活習慣を尊重しながら、その時々のADLに適した環境や十分な広さを確保し、安全性の高い住環境を整備することは、利用者のQOLを高め、介護負担の軽減にもつながります。 家族と同居している場合は、利用者のみでなく、家族にとっても快適で生活しやすい環境をつくることが大切です。

 

また、高齢者や障害者は、災害時に避難行動が困難となり、援護が必要になります。できるだけ被害が少なくて済むよう、下記のような対策をとることが必要です。

・カーテンや内装材は不燃材料を使用する。

・大きな家具類は固定し、落下する危険のあるものは高いところに置かない。

・避難路を確保しておく(通行を妨げるものは置かない)。

 

安全で心地よい生活の場をつくるポイントを以下に示します。

 

●居室

・場所は1階が望ましく、風通しや日当たりがよいこと

・トイレ、浴室、洗面所などに近いこと

・食堂や居間に近く、家族とのだんらんがしやすいこと

・良好な室内気候(室内の温度・湿度・気流)を保つ(温度:22℃±2℃、湿度:40~60%、気流:0.5m/秒以下)

・部屋の出入り口に段差がないこと

・適度な照明(200ルクス程度)があること

 

●玄関、廊下、階段

・扉は引き戸が望ましい

・段差を極力少なくする、上がり框(かまち)が高くなく段差がわかりやすいこと

・移動方法に応じたスペースがある   (車いすは直進で80㎝以上、直角に曲がる場合は85㎝以上必要)

・手すりが設置してあること   (太さ28~40㎝、高さ75~80㎝)

・十分な明るさの照明と足元灯があること

・滑りにくい床材であること

・玄関に靴を履くいす等があること

・階段の段差は、15~18㎝、踏面は24㎝以上あること

・階段は勾配ば緩やかで(30~35度)滑り止めがあること

 

●トイレ、浴室

・トイレは居室から近いこと

・プライバシーが保てる空間であること

・ドアは引き戸か外開きまたはアコーディオンカーテンであること、内開きのドアは中で倒れていると開けられない

・鍵が外から開けられること

・洋式トイレで便座の高さが身体に合っていること

・動作がしやすい位置に手すりがあること

・浴室は滑りにくい床材であること

・室温が暖かく脱衣所との温度差がないこと

・浴槽の淵が高くないこと(40㎝程度)

・バスボード、シャワーチェアなどを利用する

 

●設備

・温度や湿度が調整できる設備を設置すること

・火災報知器やガス漏れ警報器を設置すること

・たこ足配線にならないように、十分な数のコンセントを設置すること

 

●介護用ベッド(特殊寝台)

・寝ていることが多い人や身体に障害のある人にとっては、和式の布団よりベッドの方が望ましい

・ベッドの高さは、端座位で足のつく40~45㎝が望ましいが、介護をするには負担の少ない65㎝程度がよい

・介護用ベッドには、背上げ・脚上げ機能、高さ調整機能、それらを組み合わせた機能のついたものがある

・敷き布団はやや硬く吸湿性の高いもの、かけ布団は軽くて保湿性の高いものが適している

・褥瘡予防には、エアマットや除圧マットレスを使用する

 

●衛生的な環境の保持

・新建材や家具などに含まれる化学物質が影響する健康障害に「シックハウス症候群」があり、住宅の高気密化などに伴い増加している。 喘息や皮膚炎などが悪化する場合もあるため、十分な換気が行えるような対策が必要である。

・シックハウスの中で、ハウスダストに含まれるカビやダニによるアレルギー性疾患も増加している。 居室の清掃や、衣類・寝具などを清潔に保つことで、カビやダニが繁殖しないような環境を整備する必要がある。

 

(5)施設での集住の場合の工夫・留意点

 

施設には、様々なタイプのものがありますが、いずれも利用者がそこで生活を営んでいます。施設での生活を支援する場合は、そこが利用者の「暮らしの場」であることを基本に考えなければなりません。

 

施設では、生活習慣や価値観の違う個人が集まり、お互いの暮らしを認め合いながら共同生活をする場所です。かつては集団処遇が当たり前でしたが、現在では、利用者中心の「個別ケア」が基本的な考えとなっています。

 

また近年は、生活単位と介護単位をできるだけ近づけ、10人程度の小規模な集団で生活するユニットケアが主流となってきており、介護保険施設やグループホーム、小規模多機能型施設などで実践されています。

 

施設には、下記のような4種類の空間がありますが、プライベート空間では、他の利用者が立ち入らないような配慮やカーテンや間仕切りを設置するなど、利用者のプライバシーを確保する必要があります。

・プライベート空間  入所者個人の所有物を持ち込み管理する空間。居室・ベッド周辺。

・セミプライベート空間  プライベート空間の外側で、限られた複数の利用者が共同利用する空間、廊下も含む。

・セミパブリック空間  食事やレクリエーションなど、比較的大人数で集団的なプログラムなどを行う空間。

・パブリック空間  地域住民など外部の人にも開かれた空間。地域交流スペースや玄関のラウンジなど。

 

(6)他の職種の役割と協働

 

障害者や高齢者が、住み慣れた地域や家で自立した生活を営むことを支援するには、保健・医療・福祉の様々な専門職や、建築関係の専門職などが連携をとることが重要です。

 

医師、看護師、保健師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護支援専門員などの他、福祉用具専門相談員(福祉用具の選び方や使い方をアドバイスする)、福祉住環境コーディネーター(住環境整備のために必要な改修内容、福祉用具の選択などについてアドバイスする)などの専門職がチームを組んで支援することが有効になります。

 

既存の住宅を高齢者対応住宅にリフォームするための相談・支援を行うことを目的に、市町村によっては、「住宅リフォームヘルパー制度」や「リフォーム相談員」を設けているところもあります。

 

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