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自立に向けた身じたくの介護2

(4)口腔ケアの介助

 

●口腔ケアの目的

 

口腔機能には、咀嚼・嚥下・発音・呼吸などがあり、口腔ケアを行うことによって、これらの機能の改善や悪化を防止することができます。口腔ケアの目的と効果は、以下の通りです。

・虫歯、歯周病、口腔粘膜疾患などを予防する

・細菌の繁殖を防止し、誤嚥性肺炎や感染症を予防する

・口臭や不快感を除去し、気分を爽快にする

・唾液の分泌を促進し、口腔内の自浄作用の促進や乾燥を防ぐ

・ブラッシングによって、血行をよくする

・味覚を保ち、食欲を増進する

・口腔機能を維持し、嚥下障害等を予防する

 

この他、上肢や手指の機能の維持・向上、生活リズムを作る、対人関係を円滑にして社会参加を促すなど、二次的な効果もあります。

 

●利用者の状況に応じた口腔ケア

 

口腔ケアを実施する際には、歯や歯肉、粘膜、舌などの口腔の状態だけでなく、全身の状態や精神状態などを総合的に把握して行う必要があります。

 

高齢者は、唾液の分泌量が低下し、口腔内が乾燥して細菌が繁殖しやすく(ドライマウス)、口臭や歯肉炎、口内炎の原因となります。経管栄養を行っている場合は、さらに唾液の分泌量が低下しますので、丁寧な口腔ケアが必要です。 また、義歯を使用している場合も、細菌が繁殖しやすくなります。

 

片麻痺の場合は、麻痺側の感覚が鈍く、食べかすが溜まりやすい状態になっているため、麻痺側の洗浄を十分に行います。

 

●基本的な口腔ケアの方法

 

・ブラッシング法

歯ブラシを使用して歯と歯肉のブラッシングを行い、口腔内の清掃を行う方法。口腔内の清掃だけでなく、適切なブラッシングを行うことによって、虫歯や週病、口臭の予防が可能となる。

 

・口腔清拭法

急性期など全身的な衰弱の激しい利用者や口腔内の炎症が激しい利用者など、歯ブラシによる口腔清掃が困難な場合に、スポンジブラシや巻綿糸・綿棒、ガーゼなどを用いて口腔内の清拭を行う方法。口腔清掃に比べて歯垢除去の効果は低いが、誤嚥や口腔内乾燥の防止、口臭予防には安全な方法である。

 

・含嗽(がんそう)法

含嗽剤や水などの液体を口に含み、口をすすいで吐き出すことによって、食物残渣の除去や口腔内の保湿、爽快感を得る方法。  頬を動かすことにより、口腔周囲筋の訓練効果もある。

 

・口腔粘膜の清掃法・マッサージ

口腔粘膜や舌を軟らかい歯ブラシやスポンジブラシ、専用の舌ブラシを用いて清掃する方法。

実施する際は、誤嚥を防止するため、奥から手前に行うことが基本。口腔内が乾燥していると、舌苔の除去が困難となったり、表面を傷つける原因ともなるので、舌の表面を保湿して行う。

 

・義歯の清掃法

義歯は毎食後はずし、義歯用歯ブラシを使い、流水で洗浄する。義歯の変形や摩耗を防ぐため、熱湯や歯磨き剤、漂白剤などは使用しない。  洗浄後は、割れやひずみを防ぐため、水などにつけて蓋つき容器に保管する。

 

(5)衣類に関する介助

 

●衣類着脱の目的

 

衣類着脱の目的は、①気温の変化に対する体温調節、②外部からの刺激から身を守る皮膚の保護、衛生的機能、③日常生活のそれぞれの場面に合わせた快適な生活の維持、④個性を表現し、社会生活への適応機能、などがあります。

利用者の好みや価値観、生活習慣を尊重し、楽しみや生活の張り合いが持てるように支援することが大切です。

 

●衣類の選択

 

衣類を選択する場合は、以下のような点に留意します。

・利用者の好みや生活習慣に配慮し、身体状況や生活の場面に応じた形状や材質のものを選択する。

・汚れが目立つように、淡い色調の衣類を選ぶ。

・下着には、アレルギー反応が少なく、通気性と吸湿性に優れた、綿や絹のものを選ぶ。

・寝たきりの利用者の場合は、褥瘡予防のため背縫いがなく、衣類を自由に動かすことのできる前開きの寝巻が適している。

・上肢の拘縮や痛みがある場合は、伸縮性があり、袖ぐりの大きな衣類を選ぶ。

 

●衣類着脱の介助

 

衣類着脱の介助では、以下のような点に注意します。

・衣類着脱の介助での最も重要なポイントは、残存機能の活用と片麻痺の場合の「脱健着患」です。衣類を着るときは麻痺側から着せ、脱ぐときは健側から脱がせるように介助します。実技とともに試験にはよく出ますので、必ず覚えましょう。

・一部介助を必要とする利用者の場合は、自分で袖を通せるよう肩口を下げるなど、できるだけ自力で着脱ができるよう、利用者の状態に合わせて援助します。たとえ寝たきりであっても、自分でできる範囲を広げるような工夫が必要です。

・部屋を暖め保温を図る他、介護者の手も温めておきます。

・和式の寝巻は、右前(左が上)になるように、紐は縦結びにならないように着せます。

・下着は、体内からの汗や排泄物、血液、吐物などで汚れます。できるだけ毎日着替えるようにして、すぐに洗濯します。のりづけは、皮膚を傷つけたりアレルギーの原因となるため使わないようにし、柔軟剤の使用も皮膚障害を起こす可能性があるので注意します。

・成人が一晩で発汗する汗や不感蒸泄(肺からの呼気や皮膚から自然に蒸発する水分)は約200mlで、ほとんどが寝具に吸収されます。  3~4日に1回程度は、午前10時から午後2時前後の間に日光にあてるようにします。

・靴は、軽くて履きやすく、圧迫感のないものを選びます。車いすの利用者であっても、足の保護のため、外出時には靴を履くようにします。

 

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