(4)家事の介助の技法2
◆洗濯
現在では、ほとんどの被服製品が家庭で洗濯することができるようになりましたが、様々な化学繊維の普及や、被服製品の化学処理の方法が開発され、以前より洗剤と繊維の適合や洗剤の量などに注意が必要になっています。
また、化学処理された繊維によっては、刺激性接触皮膚炎やアレルギー性接触皮膚炎などの衣料障害につながることもあり、注意が必要です。
介護職は、被服素材や洗濯の方法、洗剤の種類などの正しい知識を持ち、利用者の自己決定と自立支援に配慮しながら、支援を行うことが大切です。
①洗濯の方法
洗濯の方法には、手洗いと洗濯機洗い、湿式洗濯と乾式洗濯(ドライクリーニング)があります。
湿式洗濯は水を使う、通常家庭で洗濯機を使って行う方法です。
乾式洗濯は水を使わず、有機溶剤で洗濯します。毛や絹など水分を含むと縮んだり型崩れしやすい衣類の洗濯に適しています。
洗剤の主成分は界面活性剤で、汚れになじみやすい親油基と水になじみやすい親水基からなり、汚れを繊維から引き離す働きをしています。
漂白剤には、酸化型と還元型があり、酸化型には塩素系漂白剤と酸素系漂白剤があります。
酸素系漂白剤は、効力はあまり高くありませんが、色柄ものにも使用できます。
塩素系漂白剤は、効力が強く殺菌にも使用しますが、布を傷めやすく、絹や毛には使用できません。
還元型の洗剤は、酸化した鉄さびなども落とすことができ、金属汚れや塩素系漂白剤によって黄ばんだものを漂白することができます。基本的には白ものの衣類に使用します。
洗濯の支援を行う際は、以下のような点に配慮します。
・便や嘔吐物など、汚物で汚染しているものは、少量でも別に洗濯する。
・汚れの箇所や汚れ方、汚れの種類を確認する。
・洗剤は、適合するものを指示された量で使用する。
・繊維の種類によって、自然乾燥か乾燥機を使用するかを決める。
・乾燥機を使う場合は、乾燥時間と温度を調節する。
・できるだけ利用者と一緒に行い、利用者の身体機能、認知機能、感覚機能に合わせた方法を工夫する。
・利用者の意向や習慣等に配慮する。
・選択場所や物干し場の環境を利用者が使いやすいように整備する。
②アイロン
アイロンをかける際は、衣類に表示された温度で行います。
主な繊維に適した温度は、以下のとおりです。
・高温:綿、麻
・中温:毛、絹、レーヨン、キュプラ
・低温:ポリエステル、アセテート、ナイロン、アクリル
③しみ抜き
衣類にしみがついてしまった場合は、できるだけ早くしみ抜きを行います。
しみ抜きは、衣類を裏返し、しみのついた部分を下敷き布などの上に載せて水や薬剤をつけたガーゼなどで叩くようにし、しみを下敷き布に移すように行います。
しみのついた部分をこすって拡げないようにし、薬剤を使う場合は、目立たない部分で試してから行います。
基本的に、水溶性のしみは水または温水を使い、油性のしみはベンジンを使います。
水溶性:しょうゆ、ソース、紅茶、ジュース、血液など
油性:えり垢、口紅、クレヨン、ボールペン、チョコレートなど