(2)介護過程の展開3
◆援助の実施
介護従事者は、介護計画に沿って、利用者が少しでも生活課題を解決して目標に近づけるよう、援助を実施します。
援助の実施に当たっては、①自立支援と予防、②尊厳、個別性、自己決定の尊重、③安全、安心、安楽などの視点を持つことが重要です。
◆モニタリングと記録
介護計画・個別援助計画に沿ってサービスが提供されているか、実施された援助の有効性、目標の達成度、利用者の変化や利用者・家族の満足度などを確認することをモニタリングといいます。
介護過程を展開する中での利用者の状況やその変化の様子は経過記録に記録します。 後の評価を的確に行うためには、正確に記録することが必要です。
記録では、①援助実施前の利用者の状態、②援助実施中の状態、③実施後の利用者の反応や状態、の3段階について記録します。
◆評価
あらかじめ定めておいた評価期間ごとに、目標の達成状況などについて評価を行います。
目標を達成していれば、その介護過程は終了しますが、達成できていなければ、各段階での妥当性を評価し、修正したうえで、再度介護過程を展開します。
評価の判断は、次のような基準で行います。
・援助内容を計画した通りに実施しているか。
・目標に対する達成度。
・援助内容や方法、頻度などは適切か
。 ・新たな生活課題が発生していないか。
また、妥当性のある評価を行うためには、次のようなことが必要です。
・評価期間が適切である。
・正確で十分な記録がある。
・評価の判断基準が具体的に設定されている。
(3)介護過程とチームアプローチ
介護保険制におけるケアマネジメントも介護過程と同じように展開されますが、同じものではありません。
ケアマネジメントは、利用者の生活全般を対象とした総合的な援助計画であり、生活課題に対して様々な社会資源を結びつけるものです。
これに対し介護過程(個別援助計画)は、介護支援専門員が立案したケアプランに基づき、介護の専門職の立場で、ケアプランの目標に向けて個別援助を展開するための計画です。
訪問介護における介護過程(訪問介護計画)を例では、
介護支援専門員が作成するケアプランは、 ①アセスメント、②ケアプラン原案の作成、③サービス担当者会議、④ケアプランの確定、⑤援助の実施、⑥モニタリング、⑦評価、⑧終結または①に戻る というように展開されます。
このうち介護過程(訪問介護計画)は、③~④で訪問介護が位置付けられ、どのような支援を行うかが決められますので、それにしたがって介護過程を展開することになります。
利用者への援助は、様々な専門職がかかわるチームケアとして行われます。介護保険制度のケアマネジメントの展開においては、サービス担当者会議で各専門職からの専門的な視点による意見が反映され、多角的な援助が可能となります。
介護過程を作成する介護職員もサービス担当者会議に参加し、他の職種と利用者に関する情報や目標、援助方針を共有したうえで、介護過程を展開する介護職チームでもケアカンファレンスを行い、チーム内での情報共有や連携が行われます。