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介護におけるチームのコミュニケーション2

(2)報告、連絡、相談

 

「報告」「連絡」「相談」は、「ホウレンソウ」と言われ、組織を運営していくうえで、とても重要なことです。

介護現場においても、ケアチーム内のコミュニケーションを円滑にするために必要不可欠なことです。 報告、連絡、相談に関する留意点は以下の通りです。

 

①報告

報告には、上司への報告と、ケアチームのメンバーへの報告があり、自分の行った業務の内容や利用者の状態について相手に知らせるものです。

継続性のある介護を提供するためには、介護従事者の交代や家族への引き継ぎの際に、利用者の状態について、気をつけるべき点などをきちんと申し送ることが大変重要です。

 

・利用者のいつもと違う様子など、報告すべきことは必ず報告する

・いつ、どこで、誰に報告すべきかを確認して報告する

・適切な報告手段(文書・口頭など)で報告する

・報告の筋道と要点を整理し、簡潔に報告する ・客観的事実と自分の考えや判断を整理して報告する

 

②連絡

常に連絡をとりあうことは、ケアチームの連携を確実なものにするために、大変重要なことです。特に、利用者の心身の変化があったときは、できるだけ早く医療関係者に連絡をとることが大切です。

また、利用者の状態について、必要に応じて家族に連絡をすることは、信頼関係の構築にもつながります。

連絡についての注意点は、報告とほぼ同様ですが、他に ・ケアチームや医療機関、家族との連絡方法を確認しておくこと ・5W2Hを念頭において連絡をする などが大切です。

 

③相談

介護従事者が、介護の内容、利用者の状況、自分の能力について疑問や不安がある場合には、上司(必要に応じて他分野の専門職)に相談します。

疑問や不安があるまま、自己判断で行動することは慎まなければなりません。

上司等に相談する場合は、以下のような点に注意して行います。 ・上司の都合に合わせて相談する時間や場所を考える ・相談する内容を整理し、必要に応じて資料などを準備する ・自分なりの考えや対策を考えてから相談する ・相談内容はメモをとる ・相談したことの結果や経過を報告する

 

介護の現場などでの、従業者の監督・指導・支援にはスーパービジョンという方法がよく用いられます。

 

スーパービジョンについても、問題に出されることがありますので、確認しておきましょう。

 

スーパービジョンとは、スーパーバイザー(指導する者)がスーパーバイジー(指導を受ける者)に対し、援助・指導を展開することによって、スーパーバイジーの業務を遂行するための能力を向上させ、また自身を成長させる方法です。

 

スーパービジョンには、次の3つの機能があると言われています。

 

①教育的機能

すでに持っている知識や技術の活用方法を促したり、不足している知識を指摘することによって、自分の癖や欠点などに気づき、能力を高めることができます。

 

②支持的機能

スーパーバイジーが出来ていることを認め、努力しようとする意思を励ますことによって、スーパーバイザーの理解を示し、能力と意欲を高めることができます。

 

③管理的機能

スーパーバイジーの能力を把握し、それに見合う業務を担当させるなかで、スーパーバイジーが業務に対する理解や組織の方針の理解を深めることができ、組織の一員としての能力を高めることができます。

 

(3)会議

 

介護現場における会議は、関係者が集まり、情報を共有して連携を深めたり、参加者の知恵を出し合って、問題を解決したりする場です。

 

会議には、連絡事項を確実に伝えるための「情報共有型の会議」とケアカンファレンス、事例検討、業務改善のためのミーティングなど、職場における検討すべき課題について話し合う「問題解決型の会議」があります。

 

ケースカンファレンス(ケアカンファレンス)では、さまざまな専門職が集まって知識や技術を終結し、よりよいケアが行えるよう検討する場です。 情報を共有し、本人の意向を踏まえた目標に向けて、ケアプラン等の立案、修正、評価などを行います。

 

介護保険制度における、ケアプラン作成等のための会議として、「サービス担当者会議」があります。

サービス担当者会議では、介護支援専門員が中心となり、保健・医療・福祉など各分野から専門職が集まり、専門的な立場からケアプランに対する意見を述べ、サービスの調整を行います。

 

これらの会議に参加する場合は、①事前に資料に目を通し、会議の目的を理解したうえで参加する、②質問や意見を述べる場合は、簡潔に要点を絞って行う、③意見の不一致があっても他人の意見をよく聞き、論議を行って合意点を見出す、などが注意点として挙げられます。

 

介護におけるチームのコミュニケーション1

(1)記録による情報の共有化

 

●記録の意義と目的

 

チームワークで業務を行う介護の現場では、統一した介護を実践するために、記録を介して情報を共有することが重要になります。

 

利用者に関するさまざまな情報をチーム内の介護関係者が共有することにより、利用者に関する理解が深まり、質の高いサービスが提供できるようになります。

 

また、記録は適切な介護を行ったことの証拠(エビデンス)となり、後に介護に関する苦情や照会があった場合に、実践した介護内容を伝えることができます。 訴訟問題に発展した場合でも、証拠として取り扱われるため、介護従事者の身を守るためにも、きちんと記録をとっておくことが必要です。

 

記録には、以下の目的があります。

①利用者の生活の質を向上させる

②利用者により適切な介護サービスを提供する

③介護サービス提供機関や施設の運営管理

④介護福祉士の教育や現任訓練

⑤介護福祉士のスーパービジョン

⑥介護福祉に関する調査や研究

⑦既存の介護福祉の知識の評価や新しい介護の知識を生み出す

⑧介護福祉にかかわる統計や社会福祉全般の向上

 

●介護記録の書き方

 

介護記録の書き方に関する留意点としては、以下のようなことが挙げられます。

 

①事実を客観的に書く

介護記録では、介護従事者の主観的な記述ではなく、だれがみても明らかな、客観的な事実を正確に、必要なことのみを書くことが重要です。

また、「客観的事実」に対し、利用者がどのように思っているかなどの「主観的事実」や、介護従事者が考える「事実に対する援助者の解釈や分析」を記載することも、介護の方法などを考える上で必要となりますが、それらの記述は、「客観的事実」と混同しないように区別して記録することが必要です。

 

②読みやすく、わかりやすく書く

読みやすい記録にするためには、適切な大きさの楷書(活字体)で書き、分の書き始めを1マス空ける、行替え・段落、表題や小見出し、箇条書きや図表を入れるなど、記録全体のレイアウトも読みやすく工夫することが大切です。

わかりやすい記録を書くためには、簡潔に要領よく文章をまとめる、略語などは決められた範囲内で使い、意味の明確な用語を使う、現在形・過去形・未来形を使い分ける、などが必要です。

また、5W1H when(いつ:時間)、where(どこで:場所)、who(誰が:主体)why(なぜ:原因)、what(何を:客体)、how(どのように:状態)を明確にすることもわかりやすい記録のポイントです。場合によっては、how much(いくら:金額)を加え、5W2Hとすることもあります。

 

③記録上の注意点

記録を書く際の注意点としては、修正液は使わない、誰が記録したかわかるように記載者の名前を書く、開示することを考慮して利用者に関する記述には注意を払うことなどが挙げられます。

 

④介護記録の文体

介護記録の文体には以下のようなものがあり、記録の種類や使われる場面によって使い分けられまる。

 

・叙述体

客観的事実や起こった出来事をそのまま記録するときに使われる文体。

時系列順に記録する経過記録などは、全体を短く圧縮した「圧縮叙述体」が使われることが多い。

・逐語体

介護従事者と利用者のやりとりを加工せず、そのまま記録した文体。

・要約体

要点を整理してまとめるときに用いる文体。生活歴の記録、アセスメントの要約、事例検討や各種報告書などによく用いられます。

・説明体

出来事に対する介護従事者を解し、説明するときに用いる文体。「事実」と「事実に対する解釈・意見」とは区別して書くことが重要です。

 

④介護関係記録の種類

介護関係書類の種類には、以下のようなものがあります。それぞれの名称と用途を覚えておきましょう。

 

・フェイスシート

介護記録等の1ページ目となる書類。  利用者に関する基礎的な情報である氏名、生年月日、居住地、家族構成、主訴などが記載されており、フェイスシートを見るだけで、利用者の概要を把握できるように工夫されている。

・アセスメントシート

利用者の課題解決のために、個別援助計画作成の前に行う事前評価(アセスメント)の内容を記載するもの。利用者の心身の状況や環境に関する情報、抱えている課題などが記載されている。

・個別援助計画書

アセスメントによって明らかにされた利用者の課題解決や望む生活の実現に向けて、短期目標と長期目標を決めて、目標達成のために必要な支援の計画書。

・経過記録(介護記録・ケース記録)

利用者ごとの日々の生活や実施した援助、個別援助計画の実施状況などを時間の経過に従って記録する記録。

・介護日誌(業務日誌)

施設や事業所の1日の全体的な業務や行事の内容、特別に変化のあった利用者の状況を簡潔に書いた書式。他に、当日の利用者や出勤職員名、来所者など1日のおおまかな状況が一目でわかるよう記載します。

・ケアカンファレンス記録

利用者に対し、よりよい介護を実践するために、ケアチームのメンバーがカンファレンスを行った記録で、会議の日時、参加者、会議の経過及び結果等を記載し、メンバーが情報を共有する。

 

④援助記録とICT化

IT(情報技術)、ICT(情報通信技術)の発展により、介護関係記録も電子媒体で記録・保存することが多くなってきました。

記録を電子化することにより、情報処理の自動化、情報共有の効率化、情報抽出の効率化などが図られ、書類量の減少や情報共有のしやすさなど、メリットも多いのですが、システム上のトラブルや多量の情報流出などのリスクもあります。

利用者の個人情報を保護するため、情報管理を厳密に行うことが必要です。

 

⑤個人情報保護法

2003(平成15)年に、個人情報保護法(行政機関については行政機関個人情報保護法を適用)が制定され、個人情報取扱事業者に対し、利用目的の特定、適正な取得、管理、苦情処理等が規定されました。

個人情報保護法に基づき、介護保険法においても、「利用者及び家族の個人情報を用いる場合は、あらかじめ文書で当事者の同意を得ておかなければならない」と規定されています。

また、事例研究や学術発表の場などで、利用者の事例を報告する場合は、匿名化を図り、本人が特定できないようにしなければなりません。

個人情報保護法では、データの正確性の確保、安全管理、従業者や委託先の監督など、個人データの取り扱いについても規定されています。

介護場面における利用者・家族とのコミュニケーション5

(2)コミュニケーション障害2

 

●認知・知覚機能が低下している人とのコミュニケーション

 

①認知症の人とのコミュニケーション

 

認知症の人とのコミュニケーション難しさには、以下のような原因があります。

 

・記憶障害により、少し前に話したことを忘れてしまう。

・見当識障害のために、日時、場所、季節、時間などを認識できない。

・幻視・幻聴や作話などがあり、事実と違ったことを話す。

・認知機能の低下により、言葉が理解できない、言おうとする言葉が出てこない。

 

したがって、介護従事者は、利用者が正しい記憶や周囲の認識に基づいて会話をしているという前提には立たず、利用者がそれらとは無関係に、「今ここにある存在」として会話が成り立つように工夫することが必要です。

 

利用者が事実と異なる話をしても、介護従事者は、それを否定したり、無理に肯定したりせず、ありのままを受け入れて、事実かどうかを気にせず会話ができるような工夫をします。

 

認知症の人とのコミュニケーションでは、 ・さりげなく日時や予定を会話の中に入れる ・よく覚えている昔のことを話題にする ・ゆったりと会話をし、相手の言葉を待つ ・言葉が出にくい場合は、話の流れから合う言葉を出してみる など、会話を助ける援助を行い、コミュニケーションを促します。

 

また、認知症では、感情面は低下しないことが多いので、受容、共感的な態度、信頼関係の構築などが重要なポイントです。

特に、若年認知症のある人は、自信を喪失する傾向があるので、若年者特有の心理状態を理解し、本人が役立てる場面を作るなど、自尊心を支えるようなコミュニケーションをとることが大切です。

 

②高次脳機能障害の人とのコミュニケーション

 

高次脳機能障害は、脳梗塞、脳出血などの脳血管障害や、脳の外傷などにより、言語・思考・記憶・行為などの認知機能に生じる障害です。

失認、失行、失語症など、情報の理解や伝達、行動等に障害を受けますので、コミュニケーションをとることは、著しく困難になります。

 

・失認

視覚、聴覚、触覚には障害がないのに、対象を認知することができない状態。  自分の身体を自分のものと認知できない(身体失認、主に左半側失認)、物を見てもなにをみているかわからない(視覚失認)など。

 

・失行

運動障害がないのに、目的に合った動作や行動ができない状態。  服の着方がわからない(着衣失行)、使い慣れている道具が使えないなど。

 

・失語症

言語に関する高次脳機能障害がいくつか同時に合併した状態。  様々な型と特徴があります(次項参照)。

 

・前頭葉症状

いくつかの高次脳機能障害が合併して症候群を形成した状態。  脳が広範囲に障害され、判断や行動が困難になり、日常生活に支障をきたします。  利用者の困難な状態を理解し、尊厳を大切にした支援が必要です。

 

●失語症の人とのコミュニケーション

 

失語症は、脳の言語領域が障害を受けて現れる症状で、「話す」「聞く」「書く」「読む」ことの障害ほか、計算障害も同時に認められます。

 

失語症には、以下のようなタイプがありますが、特に「運動性失語(ブローカ失語)」と「感覚性失語(ウェルニッケ失語)」は問題によく出ますので、覚えておきましょう。

 

・運動性失語(ブローカ失語)

発語に必要な筋を支配し、言葉をつくる言語中枢(ブローカ中枢)が障害された失語症で、話の内容は理解できますが、話すことが流暢でなくなります。  読み書きでは、漢字はできるが仮名を間違えやすくなります。

意思の確認に、閉じられた質問を使うことや、絵カードを使った訓練などが有効です。

 

・感覚性失語(ウェルニッケ失語)

言葉を聞き取り、理解する言語中枢(ウェルニッケ中枢)が障害された失語症で、聞く内容が理解できない、流暢に話すことはできるが、意味不明で支離滅裂な発語(ジャルゴン・スピーチ)をするという特徴があります。

読み書きでは、読み誤りや書き誤りが非常に多くなります。  感覚性失語のある人には、50音表や絵カードは、有効な手段ではありません。

 

・伝導失語

人の話を理解することにはほとんど問題がなく、自発的には適切に話しができるのに、復唱が難しいもの。

 

・失名詞(失名辞)失語

健忘失語ともいわれ、発語は流暢で、聞くことの理解も良好、復唱も良好であるのに、ものの名前が出てこない失語症。

 

・全失語

ブローカ中枢とウェルニッケ中枢を含む広範な病巣があり、すべての言語機能が障害された失語症。

 

失語症のある人には、それぞれのタイプに応じたコミュニケーションの方法を工夫することが必要です。

また、失語症が原因で聴覚機能が低下することはないので、大きな声で話しかけても効果はなく、手話も有効なコミュニケーション手段ではありません。

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