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介護を必要とする人の理解3

ここでは、ほぼ今まで出てきた内容が多いので、簡単におさらいしておきましょう。

 

(5)介護を必要とする人の社会生活支援

 

①社会参加支援

 

人間は、自然環境や人工的環境、人とのかかわりなど、社会環境と相互に関係し合いながら、生活を営んでいます。 介護従事者は、介護を必要とする人が生活する上での不自由さや心情に配慮し、利用者が主体的に社会参加し、生きがいを感じて生活できるよう支援していきます。

そのためには、身体機能の維持・改善のほか、社会参加しやすい環境を整えることが必要です。

 

②外出支援

 

●バリアフリー新法

2006(平成18)年にバリアフリー新法(正式名称「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」)が制定されました。 この法律は、それまでのハートビル法(高齢者や身体障害者などが安心して利用できる建築物(ハートビル)の建築を促進するための法律)と交通バリアフリー法(公共交通機関や関連施設のバリアフリー化を促す法律)を統合したものです。

 

バリアフリー新法では、従来は身体障害者のみを対象としていたものを、すべての障害者を対象とし、建物や公共交通機関だけだった対象施設等を拡大しました。

 

バリアフリー新法では対象とする以下の施設等について、新設・改良時のバリアフリー化を義務付けています。 ・鉄道、バス、航空機などの車両、 ・駅、バスターミナルなどの旅客施設、 ・学校、病院、百貨店等多数の人が利用する建築物、 ・これらに、道路や屋外駐車場、都市公園が追加されました

 

●身体障害者補助犬法

2002(平成14)年に身体障害者補助犬法が制定されました。 この法律により、公共交通機関や公共施設で身体障害者が補助犬(盲導犬、聴導犬、介助犬)を同伴して利用することを拒否できなくなりました。

また、同法の2007(平成19)年の改正により、一定規模以上の企業で身体障害者が補助犬を使用して勤務することを拒めなくなりました。

 

③ソーシャル・サポート・ネットワーク

ソーシャル・サポート・ネットワークとは、支援を必要とする人が抱える様々な社会生活上の問題に対して、その人を取り巻く人間関係や公的サービス、社会資源などが連携して支援するネットワークのことをいいます。

 

このネットワークを構成するのは、行政や介護保険・障害者総合支援制度等によるサービス、企業などによるフォーマル・サポートだけでなく、親戚や知人、地域住民、ボランティア等のインフォーマル・サポートも合わせて、利用者の個々の生活状況に応じたネットワークを形成が必要となります。

 

この中で、フォーマル・サポートは、それぞれの専門職が契約によりサービスを提供するため、質の高い安定したサービス提供が期待できます。

 

また、インフォーマル・サポートは制度によらないサポートであるため、フォーマル・サポートでは提供できない部分をカバーし、柔軟で情緒的なサポートを行うことが期待できます。

 

最近では、この両者の特徴を生かした地域でのソーシャル・サポート・ネットワークの形成が重要視されています。

 

④介護者の状況

 

2010(平成22)年の「国民生活基礎調査」によると、主な介護者の続柄は、6割強が「同居している者」であり、その内訳は、配偶者25.7%、子20.9%、子の配偶者15.2%で、女性が7割近くを占めています。

 

この同居している介護者が1日のうちで介護に要している時間は「必要なときに手を貸す程度」が40.2%、「ほとんど終日」が22.8%となっていますが、要介護3以上では、「ほとんど終日」の割合が最も多くなり、要介護5では、半数以上が「ほとんと終日」となっています。

 

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介護を必要とする人の理解2

(4)障害のある人の暮らしの実態

 

障害のある人が社会に参加し、自立した生活を送るためには、各種のサービスや社会資源を活用していくことが必要になりますが、障害者がひとりでそれを実現していくことは困難です。 介護福祉士は、障害者が自己選択・自己決定の基づいた身体的・精神的・経済的自立を果たし、障害があってもそうでない人と同じように普通の生活ができるよう、ノーマライゼーションの理念を実現させていくような支援を行う必要があります。

 

ここでは、障害のある人の実態を把握しましょう。

 

●障害者の数

①身体障害児・者の数

・身体障害児・者の総数は、約366万人と推計されている(平成23年)。

・このうち、在宅の身体障害児・者は約358万人と推計されている。

・在宅の身体障害児・者の障害の種類では、肢体不自由が50.5%と最も多く、次いで内部障害30.7%、聴覚・言語障害9.8%、視覚障害と重複障害8.9%などととなっている。

・在宅の身体障害児・者のうち、63.5%が65歳以上の高齢者であり、この割合は年々増加している。

・在宅の身体障害児・者のうち、48.1%が1・2級の重度身体障害者であり、この割合も増加している。

 

②知的障害児・者の数

・知的障害児・者の総数は、約54.7万人と推計されている。

・このうち、在宅の知的障害児・者は、約41.9万人と推計されている。

・施設入所者は12.8万人(23.4%)と推計され、他の障害に比べ施設入所者の割合が高い。

 

③精神障害者の数

・精神障害者の総数は約323万人と推計され(平成20年)、平成17年調査時より約20万人増加している。

・このうち、在宅の精神障害者は290万人と推計され、施設入所者は約1割である。

・疾患別の内訳では、入院入院患者の約6割が統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害、外来患者の約35%がうつ病などの気分(感情)障害となっている。

 

●障害者がある人の生活ニーズ

・2006(平成18)年の調査によると、身体障害児・者のニーズは、「年金や手当などの所得保障の充実」た42.9%と最も多く、次いで「医療費の負担軽減」「在宅福祉サービスの充実」となっている。介助の必要度については、「日常の買い物」「外出」の割合が高くなっている。

・2005(平成17)年の調査によると、知的障害児・者のニーズは、「障害に対する周りの理解」が42.1%と高く、次いで「必要な施設を利用できる制度」「経済的な援助」となている。

・在宅の精神障害者のADL能力で、「食事」は自立が約96%と高くなっているが、「炊事等」は自立が52.1%、「買物」72.0%となっており、「日常生活行動や生活の仕方」「社会の人々とのつきあい方への助言」「安心感をもたせる支援」などが求められている。

 

●障害のある人の生活の保障

①年金

・初診日に国民年金の被保険者であることや受給資格期間を満たしているなどの一定の要件を満たしている場合、障害基礎年金を受給することができる。

・障害厚生年金などは、障害基礎年金に上乗せして支給される。障害基礎年金が1・2級の者に支給されるのに対し、障害厚生年金は3級の者にも支給される。

・障害基礎年金の額は、障害等級によって定められているが、これは身体障害者手帳の等級ではなく、国民年金法施行令に規定されている等級である。

 

②手当等

・20歳未満の在宅の重度障害児(1・2級)を看護している父母または養育者に対し、「特別児童扶養手当」が支給される。

・20歳以上の在宅の重度障害者に対して、「特別あ知障害者手当」が支給される。

・20歳未満の在宅の重度障害児に対して、「障害児福祉手当」が支給される。ただし、前年の所得が一定額以上の場合は除外される。

・納税者自身又は控除対象配偶者や扶養親族が障害者に当たる場合には所得税法上の障害者控除が受けられる。

 

③雇用促進対策

・15歳以上64歳以下の障害者の就業率は、身体障害者43.0%、知的障害者52.6%、精神障害者17.3%と低迷している(平成18年)。

・障害者雇用促進法(1960(昭和35)年成立)により、民間企業は、常用労働者の1.8%以上の障害者を雇用しなければならないとされているが、未だに達成されていない(改善はされてきている)。

・2006(平成18)年の同法改正により、対象となる障害者について、それまでの身体障害者、知的障害者に精神障害者が加えられた。

・障害者の雇用促進は、障害者自立支援法の重点施策である。

・一般企業で働くことができない障害者のために働く場を提供し、社会参加やリハビリテーションの意味も含めた、福祉的就労が行われている。

・福祉的就労は、授産施設、福祉工場、作業所で行われるが、賃金が低いのが実情である。

 

④生活保護制度

・2010(平成22)年度の被保護世帯のうち、33%が障害者世帯・傷病者世帯である。

・身体障害者手帳1~3級などの場合は、生活保護制度における障害者加算を受けることができる。

 

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介護を必要とする人の理解1

よい支援を行うには、対象となる人の状態をよく理解する必要があります。ここでは、介護を必要とする人の特徴やおかれている状況を理解しましょう。

 

(1)人間の多様性・複雑性の理解

 

人間は、誕生から老年期、死に至るまでのライフサイクルを経験しながら生きていき、その各時期にそれぞれの発達課題があるとされています。

 

この発達課題は、人が生きてきた環境や文化的背景などの社会との相互作用により、人それぞれ違いがあり、ライフサイクルの個性化が生じてきています。

 

介護福祉士は、この個別性を理解し、一人ひとりの価値観や志向を踏まえて、どのようなことが生活上の支障となっているかを見極めた、「個別ケア」の視点を持つことが重要です。

 

また、利用者を主体的な存在ととらえ、心理的・社会的側面にも配慮し、「その人らしさ」を尊重して援助に当たることが必要です。

 

(2)生活障害と生活ニーズ

 

生活障害とは、病気や障害、加齢などによって、それまでできていた生活動作が困難になることを指します。

 

生活障害を考える場合、単に(麻痺や筋力低下など)身体機能の「障害」としてとらえるだけでなく、生活動作(移動や着替え、食事など)にどのような支障が起こっているかという視点をもつことが必要です。

 

利用者に、どのようなことが生活ニーズとなっているかは、一律の基準があるわけではなく、その人の置かれた生活環境・生活歴などの背景や価値観、また地域や時代によっても変わってきます。

 

それを踏まえて、どのようなことが利用者の生活に支障をきたしているかを的確に把握し、解決方法を導き出すことが大切です。

 

(3)高齢者のくらしの実態

 

①健康状態

 

・2012(平成24)年の高齢者の健康に関する意識調査によると、55歳以上調査対象者の過半数が健康状態について「よい」「まあよい」としている。

・ただし、年齢階級別にみると,「よい」は 55~59 歳では 42.7%を占めているが,年齢階級が上がるほど,「よい」の割合は低くなる傾向がみられ、80歳以上では14.6%となっている。

 

・2010(平成22)年の「人口動態調査」によると、高齢者の死亡場所別の構成割合は、病院77.9%、自宅12.6%、老人ホーム3.5%などとなっている。  また、高齢者の家庭内事故が増加しており、家庭内事故の死亡者数では溺死、窒息が多い。

 

・2011(平成23)年の厚生労働省の調査によると、全国の医療施設での受療患者数は、65歳以上高齢者が入院の約68%、外来の約45%を占めている。

 

・高齢になると身体的・生理的な機能低下が起こり、予備力の低下(とっさのときに反応できない)がみられる。

 

・高齢者は、環境への適応力が低下し、生活環境の変化が心身の健康に影響を及ぼすことが多い。

 

・2010(平成22)年の「国民生活基礎調査」によると、介護が必要となった原因は、脳血管疾患、認知症、高齢による衰弱の順になっている。

 

②世帯

 

我が国では、少子高齢化と核家族化が進み、一人暮らし高齢者と、高齢者のみ世帯の増加が目立っています。

 

・2010(平成22)年の「国民生活基礎調査」によると、65歳以上の高齢者がいる世帯は、世帯全体の4割強に上り、そのうち高齢者単独世帯と、夫婦のみ世帯がそれぞれ半数近くを占めている。

 

・昭和61年には、高齢者の4割以上が子供世帯と同居していたが、平成22年にはその割合は2割以下となっている。

 

・1997(平成9)年以降、「高齢者のいる世帯」は「児童のいる世帯」を上回っています。

 

③高齢者の所得

 

・2010(平成22)年の「国民生活基礎調査」によると、高齢者世帯の1世帯あたりの平均所得金額は、約308万円で、そのうち年金・恩給による収入が最も多く約7割を占め、次いで稼働所得によるものが2割弱となっている。

 

・同調査による所得金額階級別の世帯数分布では、年収250万円未満が母子世帯で55%、高齢者世帯で49%となっている。また、世帯員1人当たりでは、母子世帯で約97万円、高齢者世帯で約198万円となっており、高齢者世帯では、所得格差が大きいことが特徴となっている。

 

・高齢者の生活意識については、「大変苦しい」「やや苦しい」と回答した世帯が51.5%となっている。

 

④レクリエーションと社会活動

 

レクリエーションは高齢者にとって、心身の健康を維持し、QOLを高めるのに有効な手段として、積極的に取り入れられてきています。

 

・2008(平成20)年の「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」では、1年間に高齢者が参加した活動は、「健康・スポーツ」「地域行事」「趣味」などが多く、約6割の人が活動に参加しており、増加傾向にある。

 

・高齢者のためのレクリエーションは、老人クラブを中心に盛んになってきており、高齢者施設においても、機能訓練の一環として活動が行われている。

 

・レクリエーションは、転倒予防、感染予防、閉じこもり予防など、介護予防にも有効であり、日常生活の活性化が重要な視点となる。

 

・高齢者のレクリエーションにおいては、高齢者の多様性に対応したプログラム活動が必要となる。身体機能の維持向上を目的とするもののほか、学習能力向上のためのプログラムも有効である。

 

・高齢者のレクリエーションでは、グループによる活動が有効であるが、その中でも個別性を尊重し、一人ひとりの目標を設定して実施することが必要である。

 

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