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自立に向けた介護3 リハビリテーション2

(2)リハビリテーションの展開過程

 

リハビリテーションは、リハビリテーション計画に基づき、様々な専門職が協働して行います。

その展開過程はケアプランの作成などとほぼ同様ですが、リハビリテーションは、際限なく続くものではなく、目標と期間を決めて計画を立て、目標に到達して終了することを目指すものです。

 

リハビリテーションの展開過程はおおむね以下のようになっています。

①インテーク(受理面接)

②アセスメント(事前評価)

③プランニング(計画策定)

④アプローチ(プログラムの実行)

⑤効果測定(評価)

 

③プランニングの段階では、本人、保護者等(家族)が参加し、最終的に達成したい目標に対する「長期計画」と、それを段階的に達成していくための「短期計画」に基づき、計画の原案を作成し、リハビリテーションカンファレンスによって、各専門職の意見を取り入れて計画を作成します。

 

そのうえで、説明と同意(インフォームド・コンセント)を経て、④アプローチの段階に進みます。

 

⑤の効果測定によって満足できる効果が得られた場合は計画終了となりますが、そうでない場合は、③プランニングに戻り、同様の過程を繰り返します。

 

(6)リハビリテーションの専門職

 

リハビリテーションは、治療や訓練を行う専門職、相談や調整を行う専門職など、様々な専門職によって、チームアプローチで展開されます。

ここでは、リハビリテーションにはどのような専門職が関連しているかを確認しておきましょう。

 

①医師

治療等の医学的処置を行うとともに、各専門職に対して指示を出します。リハビリテーション医学会の認定を受けたリハビリテーションの専門医をリハビリテーション医(正式にはリハビリテーション科専門医)といいます。

 

②看護師

急性期における変形・拘縮・褥瘡の予防のための看護や回復期におけるADL指導、退院に向けた家族指導などを行います。

 

③理学療法士(PT)

医師の指示に基づき、身体に障害のある人の、身体機能の検査・評価を行い、機能回復訓練や日常動作訓練、電気治療、マッサージなどの物理療法を実施し、基本的動作能力の回復を図ります。

 

④作業療法士(OT)

医師の指示に基づき、手芸・工作などの作業を治療手段として、身体に障害がある人への応用動作能力、精神に障害がある人への社会的適応能力の回復を図ります。

 

⑤言語聴覚士(ST)

言語機能、音声機能、聴覚に障害のある人に対し、検査・評価を行い、コミュニケーション能力回復訓練、助言などを行います。 また、嚥下困難者に対する支援も行います。

 

⑥義肢装具士

医師の指示に基づき、四肢切断者に対する義足・義手の作成、麻痺などによる四肢の機能障害等に対し、装具を制作し、身体に適合させます。

 

⑦視能訓練士

医師の指示のもと、眼科での視機能の検査、斜視や弱視などの視機能障害を持つ人に対する、機能を回復させるための視能訓練や治療をを行います。

 

⑧精神保健福祉士

精神保健福祉領域のソーシャルワーカーです。 精神に障害がある人の生活問題や社会問題の解決のための援助や、社会参加に向けての支援を行うため、相談、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練などの援助を行います。

 

⑨医療ソーシャルワーカー

医療機関における福祉職で、患者や家族の抱える諸問題に対する相談・助言を行ったり、社会復帰や社会資源の活用のための支援を行います。 リハビリテーションチームにおいては、効果的にプログラムが受け入れられるよう、患者・家族と各専門職間の連絡調整を行います。

 

⑩臨床心理士

障害を持った人への心理状態の評価や、心理療法などの心理的サポートを行います。

 

⑪障害者職業カウンセラー

知能性格検査・適職検査などを行い、就職する上で障害となっている問題を解決に導くなど、障害者の適性に合った職業に就けるようサポートします。 地域障害者職業センターに配属され、職業リハビリテーションを行う専門職です。

 

⑫職場適応援助者(ジョブコーチ)

障害者の就職や職場適応を支援する専門職です。 支援計画に基づき、事業所や障害者の家族も対象に支援を行います。 地域障害者職業センターに配置される配置型ジョブコーチのほか、就労支援を行う社会福祉法人、障害者を雇用する企業に雇用されるジョブコーチもあります。

 

以上がリハビリテーションに関わる主な専門職ですが、①~⑧は国家資格です。⑨の医療ソーシャルワーカーは国家資格である社会福祉士が行うことが多いようですが、ソーシャルワーカー自体は国家資格ではありません。

 

このほか介護福祉士も、利用者に応じた介護の提供や家族の指導等で、リハビリテーションとのかかわりをもつ専門職であるといえます。

 

自立に向けた介護2 リハビリテーション1

(1)リハビリテーションとは

 

「リハビリテーション」というと、病院や老人保健施設などで理学療法士などによって行われる、いわゆる「機能回復訓練」であると考えがちですが、障害等のある人が社会的な統合を目指すためのあらゆる手段のことを指します。

 

「リハビリテーション(rehabilitation)」の語源は、re(再び)habilis(適した)ation(~にすること)で、人が人間としてふさわしくない状態に陥ってしまった場合にそれを再びふさわしい状態に戻すということがリハビリテーションの意味するところです。

 

すなわち、身体的な障害を回復させるだけでなく、人が社会に適応しにくい様々な状態を、社会に適応できるよう回復させる「全人的復権」(この言葉は覚えましょう)を目指すものです。

 

このようなことから現在では、リハビリテーションの目的を、「残存能力を最大限に活かして、QOLの向上を目指すこと」と考えられています。

 

そのためには、ADLに着目した援助方法を考えるだけでなく、利用者の主体性を尊重し、社会性活力(SFA=Social Functioning Ability)の獲得が重要だと考えられるようになりました。

 

主なリハビリテーションの分野は以下のとおりです。

 

①医学的リハビリテーション

病院などの医療機関や老人保健施設のほか、訪問リハビリテーションなどで行われるものです。

幅広い専門職種が連携し、ケガや病気などで心身の機能・構造に障害が発生した場合に、機能回復訓練などを通して、障害を改善し、利用者の自立や社会参加を促します。

医学的リハビリテーションでは 急性期・回復期・維持期 に各期のリハビリテーションが行われます。

・急性期

通常は発症より2週間から1ヶ月に行われ、廃用症候群や疾患の悪化を予防します。

・回復期

2週目位から3ヶ月間程度の期間(病気の発症から2か月以内)で、概ね病状が落ち着いた状態から、在宅復帰を目指したプログラムを作成し、日常生活動作の訓練などを行います。 ・維持期

急性期・回復期リハビリテーションによって獲得された機能や能力の維持・改善、社会参加や介護負担の軽減を重点に行われます。

 

②教育リハビリテーション

肢体不自由児、視覚・聴覚障害児、知的障害児、発達障害児などの障害をもった小児に対し、運動機能、情緒、言語などのそれぞれの状態に合わせた教育的支援を行い、身体・精神の自立と社会適応の向上を目指します。

2006(平成18)年の学校教育法の改正により、特別支援教育として障害種別に関わらず、個々のニーズに対応した教育が行われています。

 

③職業リハビリテーション

職業リハビリテーションは、「職業指導、職業訓練、職業選択などの職業的なサービスの提供を含んだ、継続的、総合的なリハビリテーションの一部であって、障害者の適切な就職の確保と継続ができるように計画されたもの」と定義されています(1955年ILO(国際労働機関)勧告)。

職業評価や職業指導・相談、職業訓練、職業紹介などを行います。

 

④社会リハビリテーション

社会リハビリテーションは、「社会性活力を高めることを目的としたプロセスである。社会性活力とは、さまざまな社会的状況の中で自分のニーズを満たし、一人ひとりに最大限の豊かな社会参加を実現する権利を行使する能力を意味する」と定義されています(1986年RI(国際リハビリテーション協会)の定義)

家族関係を含めたさまざまな社会システムで、障害者の社会参加の妨げとなっている要因を排除し、社会参加を実現するためのすべてのアプローチのことを指します。

 

⑤地域リハビリテーション

地域リハビリテーションとは、障害のあるすべての人々のリハビリテーション、機会の均等、社会的統合を地域の中で進めることを目指しています。

地域住民の障害への理解を促進し、地域ぐるみで本人・家族とともに保健医療、教育、職業および社会サービスなど地域の社会資源が一体となって障害のある人との生活を実現する努力を行っていきます。

 

自立に向けた介護1

この科目の重要ポイントは、ICFとリハビリテーションです。特にICFに関する問題は必ず出ると思われますので、考え方や各要素の構成、語句の意味など、何度も読み返してきちんと覚えましょう。

 

(1)自立支援

 

介護において「自立支援」が重要なことは何度も述べています。

 

利用者が、障害等により介護が必要な状態であっても、自己決定、自己選択に基づいて主体的に生きることが重要であり、それを支援するのが自立支援であると言えます。

 

自立には、身体的自立、精神的自立、経済的自立、社会的自立などがあります。介護の場面では、身体的自立が重要視されがちですが、精神的自立、社会的自立があって初めて、自立した生活を送ることができるようになります。

 

自立支援を行っていくためには、手を出す介護ではなく、利用者のもっている力を活用することが大切です。

 

本人のもっている強さや力、能力を「ストレングス」といい、そのストレングスである能力を発揮したり、意欲を引き出すことによって、自ら問題解決する能力を身につけていくことを「エンパワメント」といいます。

今日では、このストレングス、エンパワメントを活用した支援を行うことが重要視されています。

 

(2)個別ケア

 

利用者は、をの身体状況、生活歴、価値観などがすべて違い、一人ひとり個別の存在です。また、高齢になると健康状態の個人差が大きくなり、症状の出方も人によってさまざまです。

 

利用者それぞれが、その人らしい生活を送るためには、一人ひとりのアセスメントをきちんと行い、その人の状況に合わせた個別のケアを行うことが必要です。

 

なお、個別ケアを行うには、疾病や障害に応じた個別の介護技術と生活歴や価値観をふまえた個別の生活支援という2つの視点が必要になります。

 

(3)ICFに基づくケア

 

1980年にWHO(世界保健機構)によりICIDH(国際障害分類)が定められ、障害を3つのレベルに分類しました。

 

ICIDHでは、障害を「機能障害」、「能力障害」、「社会的不利」の3つの側面からとらえています。すなわち、病気や変調ががあると機能障害が起こり、それが原因となって能力障害が生じ、さらも能力障害が社会的不利を引き起こすという考え方です。

 

これに対し、「個人にのみ着目し、環境的要素が含まれていない」「障害をマイナス要因としてのみとらえている」等の様々な指摘があり、「医学モデル」として批判されたICIDHモデルからの脱却を図った「社会モデル」「生活モデル」としてのICFモデルが2001年に定められました。

 

ICF(国際生活機能分類)では、プラス面を重視するようになり、機能障害は「心身機能・構造」、能力障害は「活動」、社会的不利は「参加」という言葉を用いるようになりました。

 

そして、これらをまとめて「生活機能」という枠組みでとらえ、これらが障害された状態のことを、それぞれ「機能・構造障害」、「活動制限」、「参加制約」と呼んでいます。

 

つまりICFでは、生活機能のプラス面を重視するものの、人生を全体像としてとらえ、マイナス面も含んだ中立てきな概念でとらえています。

 

また、ICFのもう一つの重要なポイントは、障害を個人の問題(個人因子)としてだけとらえるのではなく、環境との関係(環境因子)によって影響を受けるものであるとしていることです。

 

ICFは、この個人因子と環境因子を「背景因子」として、生活機能と障害に影響する因子として取り上げ、これらの要素が相互に影響する総合的なモデルとなっています。

 

icf

 

各語句の具体的な意味は下記の通りです。

 

・健康状態:病気や体の変調、怪我、の他高齢・ストレスなども含む。

 

・心身機能:精神機能や身体の生理的機能、運動機能や視覚・聴覚などの感覚機能。

 

・身体構造:器官や肢体がどうなっているかなど、身体の解剖学的な構造。

 

・活動:歩行などの日常生活動作から、家事などのIADL、仕事も含め、行動のことを指す。

※ICFでは、本人が実際に行っている「している行動」と本人の能力である「できる行動」の2つの視点でとらえている。

 

・参加:社会的参加のこと。生活や人生場面へのさまざまなかかわりのことを指す。

 

・環境因子:物的環境(建物の構造、交通機関、福祉用具など)、人的環境(家族、友人、同僚、上司など、周囲の人々の障害者に対する意識も含む)、制度的環境(法律、医療・介護サービスなど)にわけられる。マイナス(阻害因子)だけでなくプラス(促進因子)にもなりうる。

 

・個人因子:個人の人生や生活の特別な背景。年齢、性別、生活歴、価値観、ライフスタイル、などその人の個性ともいえるもの。

 

 

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