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自立に向けた排泄の介護3

(5)利用者の状態・状況に応じた介助の留意点

 

排泄障害には、頻尿、尿失禁、便秘、下痢、便失禁などがあります。これらの障害の原因には、原疾患によるもの、薬の副作用によるものもあり、医療職と連携して原因を把握し、適切な治療・ケアを行います。

 

◆頻尿

 

一般的な1日の排尿の回数は、4~6回(就寝時0~1回)といわれています。

頻尿には、明確な回数の定義はありませんが、概ね8回以上(就寝時2回以上)を頻尿といっています。

 

頻尿の原因には、膀胱の炎症や容量の減少、前立腺肥大のほか、精神的な緊張が原因となる神経性頻尿などがあります。

 

◆尿失禁

 

尿失禁とは、「不随意、あるいは無意識な漏れが衛生的、または社会的な問題になった状態」(日本禁制学会)と定義され、様々な原因によって、尿が自分の意思に反して漏れてしまう状態を指します。

 

尿失禁には、その原因によってさまざまな分類がありますが、以下の4つの種類は、試験にもよく出題されますので、覚えておきましょう。

 

①腹圧性尿失禁

女性に多く、骨盤底筋の筋力低下による尿失禁で、くしゃみや咳など、お腹に力が入ったときに尿が漏れてしまいます。

手術による治療法もありますが、骨盤底筋の訓練が有効です。

 

②切迫性尿失禁

男女とも高齢者に多い尿失禁で、脳や神経の問題や膀胱炎、前立腺肥大、骨盤底筋の筋力低下などが原因となり、急に尿意を感じ我慢ができず、失禁してしまいます。通常は、頻尿を伴います。

治療法には薬物療法のほか、膀胱訓練(尿を我慢する訓練)と骨盤底筋訓練を行います。

 

③溢流性(いつりゅうせい)尿失禁

男性に多く、前立腺肥大や前立腺がんなどで尿が出にくい、糖尿病による膀胱の収縮不全などで、排尿困難になり、あふれるように漏れる尿失禁で、常に残尿があります。

治療法には、て尿道を開く手術や薬物療法、残尿を管で抜き取る導尿法などがあります。

 

④機能性尿失禁

排尿機能は正常であっても、それ以外の機能の障害による尿失禁です。例えば、トイレまでの移動が困難などの身体機能の低下や、トイレの場所がわからない、使い方がわからないなど認知機能の低下などが原因となっています。

原因となる機能障害へのアプローチのほか、排泄行為がしやすいように環境を整備する、介護の方法を工夫するなどの対応が考えられます。

 

◆便秘

 

便秘には明確な定義はありませんが、数日に1度程度しか排便がない、量が少ない、便の水分量が少なく硬い、排便困難があるなどの状態を指します。

 

便秘の原因には、以下のようなことが考えられます。

 

・食事摂取量の低下 ・食事の偏り(食物繊維の摂取が少ないなど)

・水分摂取量の低下

・腸の疾患や機能低下

・環境の変化

・活動性の低下(腹筋力の低下)

・便意を抑制すること

 

介護者は、利用者の便意を逃さず、すぐにトイレに行けるように援助し、排便姿勢(腹圧がかけやすい座位)の確保や、安心して排泄できる環境の整備などに留意します。

腹部を温める、腸の走行に沿って「の」の字を描くようにマッサージをするなども便秘解消に効果があります。

 

◆下痢

 

下痢とは、1日の便に含まれる水分量が200ml以上であると定義されていますが、一般には、便の水分量が多く、水または泥状になった状態を指します。

 

下痢の原因には、以下のようことが考えらます。

 

・感染症、食中毒

・炎症

・腸内の異常発酵や腐敗

・神経過敏

 

下痢は、水分や電解質が失われ、体力を消耗します。安静にし、脱水を防ぐために身体に負担の少ない食物や湯冷ましなどの水分を補給します。

 

感染症による下痢の場合は、周囲に拡大しないように感染予防策を講じます。また、下痢が続くようであれば、医療職と連携し、適切な治療が受けられるように支援します。

 

◆便失禁

 

便失禁は、便意が我慢できない、便意に関係なく知らない間に漏れている、トイレに上手に行けないなどにより、無意識または自分の意思に反して便が排泄される状態のことをいいます。

 

疾患によるものや、認知機能の低下など原因は様々ですが、一番大きな原因は、肛門括約筋の機能が低下によるものです。

 

◆その他

 

膀胱留置カテーテルを装着している利用者は、尿路感染症の予防のため、陰部を清潔にするとともに、水分を多めに摂取する、蓄尿バッグを膀胱より下の位置にするなどの対応が必要です。

 

骨盤内手術後や神経因性膀胱炎などで排尿障害のある利用者が、自分で膀胱内にカテーテルを挿入して、一定時間ごとに尿を体外に排出する方法を自己導尿清潔簡潔導尿)といいます。

自己導尿は、尿路感染を予防し、腎機能を保護するための有効な方法とされています。

 

浣腸は、便秘で苦痛がある場合に行い、直腸や結腸を刺激して排便を促す方法です。

市販のディスポーザル浣腸器を用いたグリセリン浣腸は、原則として医行為ではないとされていますが、利用者の状態をよく把握し、医療職と連携をとりながら行うことが必要です。

 

自立に向けた排泄の介護2

(4)安全で的確な排泄の介助の技法

排泄介助では、前出したような一連の動作が安全で快適にできるように心がけます。

また、感染症予防のため、手袋をするなど、衛生面にも注意が必要です。

利用者の羞恥心にも配慮し、トイレ以外の方法で介助をする場合は、プライバシーが確保できるよう援助します。

 

以下、介助方法別の留意点を示します。

 

◆トイレ・ポータブルトイレ

 

・できるだけトイレで排泄したいという利用者の希望を尊重し、手すりの設置や段差解消、照明器具など、利用者に合わせた環境整備を行う。

 

・尿意・便意がなくても安易にオムツ等にはせず、排泄パターンを把握して誘導するなど、できるだけ自立した排泄ができるよう援助する。

 

・排泄後は、利用者のプライバシーに配慮しながら、利用者の体調や排泄物の状態(量・色・においなど)を確認し、異常があれば医療職へ報告する。

 

・トイレ・ポータブルトイレでの排泄では、足底がきちんと床につき、前傾姿勢がとれることが必要です。また、蹴こみ(けこみ:トイレの下の足を引き込むスペース)があると立ち上がりが容易です。

 

・ポータブルトイレは、利用者の身体機能に合ったひじ掛けや背もたれのあるものを選定します。

 

・プラスチック製のポータブルトイレは、軽くて持ち運びはしやすいが、安定性に注意が必要です。

 

・木製で椅子型のポータブルトイレは、重く持ち運びはしにくいが、安定性があり、移乗がしやすい。ベッド脇に設置すれば、立ち上がりの際の支えにもなる。

 

・ペーパーホルダーシは、利用者の使いやすい場所に設置し、トイレットペーパーが片手で切れるよう、カッター部分に重みがあるとよい。

 

・排泄関連の福祉用具として、立ち上がりの困難な利用者には、補高便座や電動式便座昇降機がある。

 

・自分で陰部を拭くことが困難な利用者には、温水洗浄便座が有効です。

 

◆採尿器・差し込み便器

 

・採尿器・差し込み便器は尿意や便意はあるが立位や座位がとれない、夜間便器への移乗介助等ができないなどの際に使用します。

 

・おむつに比べ、排泄物が直接肌に触れている時間が短いため、衛生的で利用者の自立を促します。

 

・採尿器には、身体構造の違いによって、男性用・女性用の区別があります。

 

・男性用の尿器を使用する場合は、できるだけ自分で性器を受尿口に入れてもらい、自分で尿器を持ってもらいます。自分でできない場合は了解を得て介助します。

 

・女性用の尿器を使用する場合は、仰臥位になり、尿器の縁を陰部にしっかり密着させ、尿が飛び散らないように、両ひざを閉じるようにして行います。

 

・自動吸引式集尿器は、センサー付きの受尿部と蓄尿部が分かれており、尿を感知すると高低差がなくても尿を蓄尿部に送ることができます。受尿部には、男性用と女性用があります。

 

・差し込み便器を使用する場合は、男女とも肛門部が便器の中央部にくるようにし、便器の中にトイレットペ―パーを敷きます。腹圧をかけやすくするため、ベッドの背を上げるようにして行います。

 

・男性が差し込み便器を使用する場合、同時に排尿がある場合もあるため、尿器も使用できるようにしておきます。

 

◆おむつ

 

・寝たきりで尿意便意がない場合などに、最後の手段としておむつを使用します。排泄物が直接肌に触れるため、できるだけ早く交換することが大切です。

 

・片麻痺の人のおむつ交換をする際は、患側が下になる時間をできるだけ短くするようにして介助します。

 

・おむつには、布おむつと紙おむつがあり、紙おむつにはパンツタイプ、テープ式、フラット型などさまざまな種類があります。利用者の身体状況を把握し、昼夜で使い分けるなど、適切なものを選定します。

 

・布おむつには、肌触りが下着に近い、洗濯して繰り返し使える、ごみにならないなどの長所がありますが、洗濯等の手間がかかる、重ねて使用するとかさばる、濡れることによる不快感があるなどの欠点もあります。

 

・紙おむつには、種類が豊富で利用者の状態に合わせやすい、濡れても不快感が少ない、手間がかからない、使い捨てで衛生的であるなどの長所がありますが、ごみが出る、経済的負担が大きいなどの欠点もあります。

 

・布おむつを使用する場合、尿漏れを防ぐため、女性は後ろ側、男性は前側を二つ折りにするなどして厚くします。

 

・おむつ交換の介助の際には、使い捨て手袋を使用し、排泄物に直接手が触れないように注意します。

 

・おむつ交換時の清拭用の布は、汚れた面で拭かないよう、面を変えながら行います。また、汚れたおむつ等は、汚れた部分を内側にして丸めて処理します。

 

自立に向けた排泄の介護1

(1)排泄の意義・目的

 

排泄は、体内にある不要な物質を体外に排出することを指しますが、人間の基本となる生理的欲求であり、生命を維持し、健康な生活を送るために大きな意味をもつものです。

 

また、排泄は極めてプライバシーに関わる行為であり、羞恥心を伴います。

介護者は、利用者の心理面にも配慮し、利用者の生活リズムや習慣を尊重した安全で安心感を与えられるよう援助します。

福祉用具などを活用し、利用者に恥ずかしい思いをさせないよう、環境を整えることも有効です。

 

排泄行為の自立は、社会的自立につながりますが、失禁から安易にオムツをしようするなど不適切な排泄介護を行うことが、利用者の意欲を低下させ、社会的活動が不活発になったり、廃用諸侯群を招いたりします。

 

(2)排泄に関する利用者のアセスメント

 

排泄介助を適切に行うためには、利用者の排泄に関するADLの状況のほか、習慣や価値観、などを把握する必要があります。以下に排泄に関するアセスメントのポイントを示します。

 

●身体的側面

・疾患の状態、既往歴、服薬状況

・ 尿意・便意の有無、

・移乗・移動、着脱等のADLの状態

・食事、水分の摂取状況

 

●精神的側面

・トイレの場所や排泄行為の理解などの認知機能

・コミュニケーションが可能か

・排泄に関する考えや希望、排泄習慣など

・ 本人の意欲、羞恥心、遠慮、介護の拒否の有無など

 

●環境的側面

・トイレの場所、移動時の障害物の有無など

・プライバシーの保護

・洋式・和式、手すりの設置など利用しやすいか

・介助可能な広さがあるか

・介護者が常にいるか、いない場合の時間帯はいつか

・介護者の技術や排泄に関する知識

 

(3)気持ちよい排泄を支える介護

 

利用者の尊厳が保持され、その人に合った方法で排泄介助を行うために、以下のような点に留意します。

 

・介護側の都合に合わせた介助ではなく、利用者の排泄リズム・習慣に合わせた介助を行う。

・羞恥心を与えないよう、言葉遣いや態度に注意する。

・利用者のプライバシーに配慮し、安全に動作ができる環境を整える。

・残存能力を活用し、利用者の自立度に応じた介助を行う(安易にオムツやポータブルトイレなどを使用しない)。

・清潔を保持し、感染症等に注意する。

・排泄物を確認し、異常があれば医療職に報告する。

 

排泄の行為は、以下のような一連の動作で行われます。

排泄のコントロールがうまくできなくなったときは、どのような原因で、どの部分ができないかを把握し、必要な援助方法を導き出します。

 

① 尿意・便意を感じる

② 起居動作、およびトイレまで移動、ドアを開ける

③ トイレ、便器を認識する

④ 衣服を脱ぐ

⑤ 便器に座る(①~⑤の間、排泄を我慢する)

⑥ 腹圧をかけ、排尿・排便をする

⑦ トイレットペーパーで拭く、水を流す

⑧ 衣服を着る、手を洗う

⑨ 他の場所へ移動する

 

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