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自立に向けた身じたくの介護3

(6)利用者の状態・状況に応じた身じたくの介助の留意点

 

●感覚機能が低下している人に対する介助の留意点

 

・視覚や聴覚など、感覚機能が低下している利用者を介助する場合は、残された感覚機能を活用して支援することが大切です。

 

・視覚障害のある利用者の身じたくの介助では、移動する場所の床には物を置かないこと、使用する物品がいつも同じ場所にあること、などが必要です。 利用者にわかるように点字や印をつけておき、置き場所を移動する場合は、必ず本人の確認をとることが必要です。

 

・介護従事者は、危険がないように見守りを行い、必要に応じて介助します。

 

●運動機能が低下している人に対する介助の留意点

・下肢の機能が低下している人は、移動が困難ですので手すりや歩行補助杖、車いすなどで移動しやすいように環境を整備します。  また、立って更衣をすることが困難な場合は、座ったままで着脱できるように支援します。

 

・上肢の機能が低下している人は、身じたくが非常に困難になりますが、ボタンエイドやソックスエイドなどの手指が不自由でも使える補助具を使用して、できるだけ自分で行えるよう支援します。

 

・片麻痺のある人の更衣は、麻痺の状態や可動域を確認し、健側の機能を活用して、できるだけ自分で行えるよう支援します。

 

・片麻痺のある利用者は、半側空間無視(左右どちらかの空間しか認識できない状態、多くは左半側が認識できない)麻痺側に食物残差が停滞して、口腔清掃が適切にできていないこともあります。  片麻痺のある人には、鏡を使うなどして、できるだけ麻痺側を意識してもらうような支援が必要です。

 

・経管栄養の利用者は、口腔機能が低下している場合が多く、口腔ケアを行う際には、誤嚥しないよう、座位や側臥位など姿勢に配慮するとともに、チューブなどに異常がみられる場合は、速やかに医療職に報告し、対処します。

 

●認知・知覚機能が低下している人に対する介助の留意点

 

・認知症などで認知・知覚機能が低下していると、身じたくを行うことの意味がわからなくなったり、気候に合わせて適切な衣類を選択することが困難になったりします。また、介助の意味が理解できずに抵抗する場合もあります。

 

・利用者の意見を聞きながら受容・共感し、安心感を与えるような援助を行い、できるだけふさわしい整容を行うことができるよう支援します。

 

・言葉による説明が困難な場合は、介護従事者が同じ動作を行うなどして、残された能力を活用できるよう援助します。

 

(7)他の職種の役割と連携

 

●医療職との連携

 

・身じたくの介助を決行うときは、利用者の皮膚や口腔、全身状態を観察するよい機会となります。異常を見つけた場合は、早急に医療職に報告して対処します。

 

・身じたくの動作では、思わぬけがや感染、状態が悪化する可能性もあります。日ごろから医療職と連携し、利用者の疾患に関する情報提供やアドバイスを受けておくことが大切です。

 

●理学療法士・作業療法士との連携

 

・理学療法士による身体機能の回復や座位の安定を図るためのリハビリテーションや、作業療法士による身じたくに必要な動作の訓練などは、身じたくの動作を安定して行うために有効な手段です。

 

・介護従事者は、利用者の普段の動作を把握していますので、理学療法士・作業療法士と連携することによって、より効果的に利用者の身じたくに関する動作の自立を促すことが可能です。

 

●介護支援専門員との連携

 

・介護保険制度において、介護支援専門員は、利用者の生活全般を支え、社会参加意欲を高めるようにケアプランを作成します。一方、介護従事者は、利用者の身じたくの動作を通じて社会参加への可能性を把握することが可能です。

 

・介護従事者と介護支援専門員が、ケアカンファレンスなどで、お互いの情報を共有することによって、利用者の身じたくを支援し社会参加を促して、利用者のQOLを高める支援を行うことが可能となります。

 

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自立に向けた身じたくの介護2

(4)口腔ケアの介助

 

●口腔ケアの目的

 

口腔機能には、咀嚼・嚥下・発音・呼吸などがあり、口腔ケアを行うことによって、これらの機能の改善や悪化を防止することができます。口腔ケアの目的と効果は、以下の通りです。

・虫歯、歯周病、口腔粘膜疾患などを予防する

・細菌の繁殖を防止し、誤嚥性肺炎や感染症を予防する

・口臭や不快感を除去し、気分を爽快にする

・唾液の分泌を促進し、口腔内の自浄作用の促進や乾燥を防ぐ

・ブラッシングによって、血行をよくする

・味覚を保ち、食欲を増進する

・口腔機能を維持し、嚥下障害等を予防する

 

この他、上肢や手指の機能の維持・向上、生活リズムを作る、対人関係を円滑にして社会参加を促すなど、二次的な効果もあります。

 

●利用者の状況に応じた口腔ケア

 

口腔ケアを実施する際には、歯や歯肉、粘膜、舌などの口腔の状態だけでなく、全身の状態や精神状態などを総合的に把握して行う必要があります。

 

高齢者は、唾液の分泌量が低下し、口腔内が乾燥して細菌が繁殖しやすく(ドライマウス)、口臭や歯肉炎、口内炎の原因となります。経管栄養を行っている場合は、さらに唾液の分泌量が低下しますので、丁寧な口腔ケアが必要です。 また、義歯を使用している場合も、細菌が繁殖しやすくなります。

 

片麻痺の場合は、麻痺側の感覚が鈍く、食べかすが溜まりやすい状態になっているため、麻痺側の洗浄を十分に行います。

 

●基本的な口腔ケアの方法

 

・ブラッシング法

歯ブラシを使用して歯と歯肉のブラッシングを行い、口腔内の清掃を行う方法。口腔内の清掃だけでなく、適切なブラッシングを行うことによって、虫歯や週病、口臭の予防が可能となる。

 

・口腔清拭法

急性期など全身的な衰弱の激しい利用者や口腔内の炎症が激しい利用者など、歯ブラシによる口腔清掃が困難な場合に、スポンジブラシや巻綿糸・綿棒、ガーゼなどを用いて口腔内の清拭を行う方法。口腔清掃に比べて歯垢除去の効果は低いが、誤嚥や口腔内乾燥の防止、口臭予防には安全な方法である。

 

・含嗽(がんそう)法

含嗽剤や水などの液体を口に含み、口をすすいで吐き出すことによって、食物残渣の除去や口腔内の保湿、爽快感を得る方法。  頬を動かすことにより、口腔周囲筋の訓練効果もある。

 

・口腔粘膜の清掃法・マッサージ

口腔粘膜や舌を軟らかい歯ブラシやスポンジブラシ、専用の舌ブラシを用いて清掃する方法。

実施する際は、誤嚥を防止するため、奥から手前に行うことが基本。口腔内が乾燥していると、舌苔の除去が困難となったり、表面を傷つける原因ともなるので、舌の表面を保湿して行う。

 

・義歯の清掃法

義歯は毎食後はずし、義歯用歯ブラシを使い、流水で洗浄する。義歯の変形や摩耗を防ぐため、熱湯や歯磨き剤、漂白剤などは使用しない。  洗浄後は、割れやひずみを防ぐため、水などにつけて蓋つき容器に保管する。

 

(5)衣類に関する介助

 

●衣類着脱の目的

 

衣類着脱の目的は、①気温の変化に対する体温調節、②外部からの刺激から身を守る皮膚の保護、衛生的機能、③日常生活のそれぞれの場面に合わせた快適な生活の維持、④個性を表現し、社会生活への適応機能、などがあります。

利用者の好みや価値観、生活習慣を尊重し、楽しみや生活の張り合いが持てるように支援することが大切です。

 

●衣類の選択

 

衣類を選択する場合は、以下のような点に留意します。

・利用者の好みや生活習慣に配慮し、身体状況や生活の場面に応じた形状や材質のものを選択する。

・汚れが目立つように、淡い色調の衣類を選ぶ。

・下着には、アレルギー反応が少なく、通気性と吸湿性に優れた、綿や絹のものを選ぶ。

・寝たきりの利用者の場合は、褥瘡予防のため背縫いがなく、衣類を自由に動かすことのできる前開きの寝巻が適している。

・上肢の拘縮や痛みがある場合は、伸縮性があり、袖ぐりの大きな衣類を選ぶ。

 

●衣類着脱の介助

 

衣類着脱の介助では、以下のような点に注意します。

・衣類着脱の介助での最も重要なポイントは、残存機能の活用と片麻痺の場合の「脱健着患」です。衣類を着るときは麻痺側から着せ、脱ぐときは健側から脱がせるように介助します。実技とともに試験にはよく出ますので、必ず覚えましょう。

・一部介助を必要とする利用者の場合は、自分で袖を通せるよう肩口を下げるなど、できるだけ自力で着脱ができるよう、利用者の状態に合わせて援助します。たとえ寝たきりであっても、自分でできる範囲を広げるような工夫が必要です。

・部屋を暖め保温を図る他、介護者の手も温めておきます。

・和式の寝巻は、右前(左が上)になるように、紐は縦結びにならないように着せます。

・下着は、体内からの汗や排泄物、血液、吐物などで汚れます。できるだけ毎日着替えるようにして、すぐに洗濯します。のりづけは、皮膚を傷つけたりアレルギーの原因となるため使わないようにし、柔軟剤の使用も皮膚障害を起こす可能性があるので注意します。

・成人が一晩で発汗する汗や不感蒸泄(肺からの呼気や皮膚から自然に蒸発する水分)は約200mlで、ほとんどが寝具に吸収されます。  3~4日に1回程度は、午前10時から午後2時前後の間に日光にあてるようにします。

・靴は、軽くて履きやすく、圧迫感のないものを選びます。車いすの利用者であっても、足の保護のため、外出時には靴を履くようにします。

 

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自立に向けた身じたくの介護1

(1)身じたくの意義と目的

 

身支度とは、洗顔、歯磨き、整髪、爪の手入れ、着替え、化粧などのことを指し、外部環境や危険物から身を守る、体温調節、清潔保持などの意義があります。

この他、生活のリズムを作ることや、自己表現の手段となるなど、精神面にも大きく影響します。

 

身支度の介護を行う際には、利用者の個別性を尊重し、「できること」「できるであろうこと」を利用者とともに考え、その人らしい健康な生き方ができるよう、支援することが大切です。

 

(2)身じたくに関する利用者のアセスメント

 

身じたくに関するアセスメントを行う際にもICFの視点に立ち、目的・目標(する活動・したい活動)、現状(している活動)、能力(できる活動)を把握します。

 

また、「身じたく」という行為自体は生活機能の中の「活動」に該当しますが、「心身機能・身体構造」や「参加」、「個人因子」や「環境因子」、「健康状態」とどのようにかかわっているかを総合的に評価することが必要です。

 

(3)整容に関する介護

 

整容の行為の自立には、座位の安定と上肢のスムーズな動きが必要です。どちらかに障害がある場合は一部介助が必要となりますが、利用者の残存機能を活かし、できるところはやってもらいながら介助します。寝たきりや認知機能の障害などで、全介助が必要な場合も、できるだけ利用者がかかわれるように支援します。

 

●洗面の介助

洗面には、顔面の皮脂や汚れを落とし清潔を保持するとともに、血流を促進する効果があり、爽快感をもたらします。また、生活のリズムを整えることにも役立ちます。

洗面台での洗面ができない場合は、熱め(40℃前後)の湯でしぼったハンドタオルを利用者に渡し、できるだけ自分でできるよう促し、拭き残しがないよう声掛けをします。 全介助の場合は、本人の意向を聞きながら行いますが、目や鼻の周囲は皮脂がつきやすいので丁寧に行います。 介助を行う際は、目頭から目尻にかけて行うと、感染予防になります。 洗面後は、必要に応じてローションやクリームを使い、皮膚を保護します。

 

●ひげそり

ひげは、1日に約0.4㎜伸び、日本人の男性では、1日に1回ひげを剃ることが一般的ですが、ひげを伸ばすかどうかや剃る方法は人それぞれ好みが違いますので、できるだけ利用者の希望に沿うようにします。

ひげそりの介助をする場合は、以下の点に注意します。 ・電動ひげそりを使うか、かみそりを使うか、など利用者の好みを聞く。 ・電動ひげそりは、伸びすぎたひげや顔のくぼんだ部分はそりにくいことがある。 ・かみそりを使う場合は、蒸しタオルでひげを柔らかくしてから行い、シェービングクリーム等をひげにつける。 ・ひげそりは、皮膚を伸ばし、傷つけないように細心の注意を払う。 ・電動、手動ともかみそり負けをしやすいので、ひげそり後にはクリーム等で皮膚を保護する。

 

●爪切り

爪は切らずにいると、巻き爪や爪肥厚など変形の原因となり、指先の動作や歩行の障害になったり、皮膚や衣類を傷つけたりすることもあります。また、爪が伸びていると不衛生になり、爪白癬(爪の水虫)の原因にもなります。

高齢者の爪は、もろくて割れやすいため、力を入れすぎず、切り過ぎないことが大切です。また、入浴(指浴・足浴)後や蒸しタオルを当てた後は、爪が柔らかくなり、安全に行うことができます。

足の爪は、まっすぐ横に角を残して切ると巻き爪になりにくくなりますが、手の爪は、角をなくした方が指を使いやすくなります。

爪切りは、介護職にも認められるようになりましたが、爪や皮膚状態に異常が認められる場合は、速やかに医療職に報告する必要があります。

 

●整髪

整髪は、頭髪・頭皮の健康維持の他、気分転換や社会性の維持のために大切な行為です。高齢者や障害のある人は、整髪がおろそかになりやすい傾向にあるので、起床時や入浴後、外出時など、適宜観察し、声をかけるようにします。

整髪の介助は、利用者の意向を聴きながら丁寧に行います。一部介助が必要な場合は、できるだけ利用者に行ってもらい、できない部分を整えます。可能であれば鏡を見てもらい、確認しながら行うようにします。

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