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自立に向けた入浴・清潔保持の介護2

(4)安全で的確な入浴・清潔保持の介助の技法

 

◆入浴

 

入浴介助の方法・注意点については、前出の入浴介助の留意点とほぼ同様です。

 

ここでは、入浴の作用、浴槽について確認しておきます。

 

入浴には、3大作用といわれる「温熱作用」「静水圧作用」、「浮力作用」があります。

 

・温熱作用

温熱作用は、お湯の熱による作用で、血管拡張による血行促進によって組織への酸素供給を増加させる効果があります。

ただし、42℃以上の高温浴では、交感神経が刺激され、心拍数、血圧の上昇がみられるため、高齢者や心機能の低下している人には注意が必要です。

微温浴(37~39℃)では、副交感神経が刺激されて、リラックスして入浴がでます。

 

・静水圧作用

静水圧とは、浴槽の中で身体にかかる水圧のことをいいます。

静水圧によって静脈が圧迫され、静脈還流が増加し血圧や心拍出量が増加します。

肩までつかる全身浴では、心臓や肺に負担がかかりますので、半身浴の方が安全に入浴できます。 また、浴槽から急に立ち上がると、静水圧がなくなり、失神やめまいが起こる場合があります。

 

・浮力作用

浴槽の中で体重は浮力の作用によって普段の9分の1程になります。そのため、体重を支えている筋肉や関節への負担が少なくなり、普段動かしにくいところも動かしやすくなります。

ただし、浮力によって身休が浮いてしまい、溺水につながることがありますので、注意が必要です。

 

浴槽には様々なタイプがありますが、主に「和式」「洋式」「和洋折衷」の3種類があります。

 

・和式浴槽

深くて狭いため、足を曲げて入る。洋式に比べて静水圧がかかるため、心疾患のある人にはあまり向いていないが、背に当たる部分が直角に近いので、立ち上がりはしやすい。

 

・洋式浴槽

浅めで足を伸ばして入れるため、楽に出入りができ、負担が少なくゆったりと入浴できる。身体が浮きやすく、姿勢が不安定になりやすいという欠点もある。

 

・和洋折衷式浴槽

和式と様式の中間にあたるもので、両者の長所を合わせた浴槽である。

 

◆シャワー浴

 

疾患や身体的状況により、入浴が困難な場合や、汚れをすぐに落としたい場合などにシャワー浴を行います。

 

身体にあまり負担をかけずに清潔を保持できる反面、皮膚の表面しか温まらず、入浴よりも気化熱による皮膚の温度が低下しやすいという欠点があります。

 

浴室を暖かくし、終了後はすぐに乾いたタオルで身体を拭くなどの配慮が泌要です。

 

◆部分浴(足浴・手浴)

 

疾患や身体的状況により、入浴ができない場合は、足浴、手浴の部分浴や洗髪、陰部洗浄を行います。

 

①足浴

足浴は、足を清潔にするだけでなく、下肢全体を湯につけることによって、血液の循環が良くなり、身体が温まってリラックスできるとともに、安眠を促す効果もあります。

不必要な露出は避けて、微温(37~39℃)で行うようにします。

 

②手浴

手浴は、手指の拘縮などで汚れが溜まりやすい場合などに効果があります。

こまめに手浴を行うことによって、清潔が保持できるほか、拘縮の予防や症状の緩和などにもつながります。

 

③洗髪

洗髪には、頭皮と髪の毛についた汗や皮脂、汚れなどを取り除くとともに、頭皮を刺激して爽快感を与える目的があります。

洗髪を行う際は、安楽な体位で行い、頭部を傷つけないよう、指の腹で頭皮をもむようにして行います。

寝たきりなどで入浴できない場合は、福祉用具を使い、ベッド上で行うこともできます。また、湯を使わずに使用できるドライシャンプーも様々な種類がありますので、利用者の状態に合わせて洗髪の方法や用具を選択します。

 

④陰部洗浄

陰部は、尿や便によって汚染されやすく、感染症や悪臭の原因になります。

利用者の羞恥心に配慮し、こまめに行うようにします。女性の場合は、陰部への感染予防のため、前から後ろに向けて洗い流します。

 

◆清拭

 

清拭は、身体状況等により、入浴できない場合に代わりに行われることが多く、全身清拭と部分清拭があります。

皮膚の汚れを取り除き、清潔を保つことのほか、血行や新陳代謝を促し、爽快感を得る効果もあります。

 

清拭における注意点等は、以下のとおりです。

 

・できるだけ、日中の暖かい時間帯に行うなど、室温に注意する。

・不必要な露出を避け、必要に応じてタオル等で保温する。

・平均した力で、滑らかに拭き、血行を促す。 ・四肢は末梢から中枢に向けて、筋肉の走行に沿って拭く。

・腋下などの発汗しやすい部分や褥瘡になりやすい背部や仙骨部、臀部などは毎日丁寧に拭く。

・片麻痺のある利用者の背部の清拭では、健側を下にして楽な姿勢で行う。

・腹部の清拭は、腸の走行に沿って「の」の字に拭く。

・目は、手を清潔にしてから、目頭から目尻に向けて拭く。同じ面で拭かないようにする。

 

(5)利用者の状態・状況に応じた介助の留意点

 

入浴の介助は、利用者の尊厳やプライバシーに配慮しながら、その人の状態に合わせて、適切な方法で行います。

 

・認知症の高齢者は、入浴を拒否することが多々あります。

入浴行為自体がわからなかったり、入浴の方法がわからないなど、原因は様々ですが、できるだけ原因を突き止めて対応するようにします。原因がわからない場合でも、時間を空けて声をかけるなど、入浴できるよう工夫して支援します。

 

・入浴中の事故は、冬季に集中しています。脱衣所と浴室の温度差を少なくし、ヒートショックを受けないように配慮します。特に高血圧の人には注意が必要です。また、低血圧の人は、起立性低血圧にも注意が必要です。

 

・ストーマを装着している人の場合、ストーマを外して入浴しても、腹腔内圧が風呂の水圧よりも高いため、湯が体内に入ることはありません。

 

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自立に向けた入浴・清潔保持の介護1

(1)入浴の意義と目的

 

入浴や清拭には、生理的・心理的・社会的効果があります。身体機能の低下や認知症などで、自力での清潔保持が難しくなっても、できるだけ本人の力を活用しながら、清潔を保つための援助を行いましょう。

 

入浴や清拭には以下のような効果があります。

 

・身体の清潔保持ができ、感染予防につながる

・血行を促進し、新陳代謝を促すことにより、傷や褥瘡などの回復につながる

・適度な体力の消耗やリラックスすることにより、安眠をもたらす

・保温効果や疲労回復により 食欲増進、ストレス解消など精神的に活性化させる効果がある

・胃腸の働きが活発になり、排便を促す

・身体が清潔になり体臭を防ぐことにより、よい対人関係の形成につながる

 

このほか、入浴時に温まった四肢を動かすことによって、固まった関節可動域を広げるリハビリテーションの効果もあります。

 

(2)入浴に関する利用者のアセスメント

 

入浴や清拭は、利用者の全身の状態が観察できる機会であるとともに、気分が爽快になり、コミュニケーションをとるにもよい機会となりますが、体力の消耗が大きいうえ、火傷や溺水、転倒などの危険性やプライバシーの問題も存在します。

 

入浴や清拭の介助を行う際は、利用者の状態をよく把握し、適切な方法や手順で援助を行う必要があります。

入浴や清拭に関するアセスメントでは以下のような点に留意します。

 

・健康状態

既往歴や現疾患、皮膚の状態、感染症、入浴時のバイタルサイン、服薬状況など

 

・身体的側面

麻痺・拘縮などの障害、移動・移乗の状態、感覚機能の状態など

 

・精神的側面

認知機能の状態、意欲、気分の状態など

 

・環境的側面

入浴場所の状態、介護者の状態、人間関係、緊急時の体制など

 

・個人的側面

生活習慣、清潔に関する価値観、経済状況など

 

(3)爽快感・安楽を支える介護

 

入浴の介助を行う際は、安全で楽しく入浴できるように、環境面や介助の方法に配慮する必要があります。

 

また、利用者の残存機能を活かし、できるだけ自分で行ってもらうとともに、プライバシーや羞恥心に配慮することが求められます。

 

入浴の介助では、以下のような点に留意します。

 

・入浴の前後に健康状態を確認する。

バイタルサインや皮膚の状態、表情など。異常がみられる場合は入浴を中止する。

 

・脱衣室、浴室を暖かくしておく

高齢者は、皮膚感覚や体温調節機能が低下しているため、ヒートショック(急激な温度の変化による身体の変化)をおこしやすい。

 

・湯温を確認する。

42℃以上では、血圧の上昇がみられるため、39~41℃(中温)以下が望ましい。

 

・石鹸、タオルなどの入浴用品は安全で使いやすい場所に置く。

転倒防止のため、安全な場所に置き、床のぬめりなどにも注意する。

 

・排泄は、入浴前に済ませておく。

 

・シャワーやかけ湯をする場合は、心臓から遠い末梢から中枢に向けて行う。

自分の手で湯温を確認してから行う。片麻痺がある場合は、温度が確認できる健側から行う。

 

・浴槽に入る時間は、5~10分程度にする。

呼吸器系、循環器系の疾患がある場合は特に注意をする。

 

・浴槽内での姿勢に注意する。

浴槽内では身体が浮き、バランスをくずしやすい。肩を支えるなどで頭が沈まないようにする

 

。 ・安全に入浴、洗身の介助を行う。

残存機能を活用し、介護者が安全に介助できるよう、シャワーチェアなどの福祉用具を活用する、ボディメカニクスを活用するなど。

 

・入浴中、入浴後の心身の状態を確認する。

入浴は体力を消耗しやすい。異常がある場合は、入浴を中止し、医療職に報告する。

 

・入浴後は丁寧に水分を拭き取る。

 

・水分補給をする。

十分な休息をとるとともに、失われた水分を補給する。

 

事故や体調の悪化が見られたときには、以下のように対応します。

 

・体調の悪化がみられたときは入浴を中止し、ベンチなど平らなところで安静にして医療職に報告する。

 

・溺水した場合は、すぐに栓を抜いて、利用者の気道を確保しながら浴槽から引き出す。

 

・めまいを起こした場合は、浴槽から出して、仰臥位で安静にする。

 

・痙攣が起こった場合は、浴槽から出して、楽な姿勢にする。痙攣が数分以上続く場合は、救急搬送を要請する。

 

・熱傷(やけど)を負った場合は、すぐに患部を冷水で冷やす。熱傷の範囲が広い場合は、救急搬送を要請する。

 

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