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福祉とは、社会福祉の歴史

 

◆福祉とは

 

「福祉」という言葉には、「幸福。特に社会の構成員に等しくもたらされるべき幸福(大辞林第3版)」という意味があります。

 

「人間の尊厳と自立」の中でも示しましたが、「福祉」は、個人の尊厳の保持、自立支援、最低生活の保障、共生などの理念を持ち、介護福祉士試験の大きなポイントでもあります。

 

福祉の理念を表す重要な語句に「ソーシャル・インクルージョン」というものがあります。最近注目されていますので、「ノーマライゼーション」と併せて覚えておきましょう。

 

ソーシャル・インクルージョン 「社会的包摂(ほうせつ)」と訳される。障害者などが社会から排除されるのではなく、社会の一員として包み込むこと。

 

社会的に排除されやすい人が、社会の中で共に助け合って生きていこうという考え方を「共生」といい、すべての人が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に「参加」できる社会を作ることが重要です。

 

 

◆戦後における我が国の社会福祉の歴史

 

我が国の社会福祉の歴史の概要です。各法令ができた時代背景とともに大まかには把握しておきましょう。

 

●昭和20年代~30年代

 

1945(昭和20)年の終戦後、GHQによる民主化政策の一環として制定されたのが、旧生活保護法(1946[昭和21]年)(1950[昭和25]年に現生活保護法に)、児童福祉法(1947[昭和22]年)、身体障害者福祉法(1949[昭和24]年)です。

 

昭和20年代は、主に急務であった戦争による貧困者、戦争孤児、戦傷病者の救済を目的とした制度ができました。これらの体制を「福祉三法体制」と呼びます。日本国憲法が制定されたのもこの時代(1947[昭和22]年)です。

 

なお、第28回試験に出題された、糸賀一雄が知的障害者施設「近江学園」を創設したのは、1946(昭和21)年です。「発達保障」を主張した「この子らを世の光に」を著したのは1965(昭和40)年。

 

昭和30年代は、戦後の混乱期から高度成長時代への転換期であり、低所得者対策など国民の生活を安定させる施策が講じられました。 この時代に福祉三法に新たに3つの法律が加わり「福祉六法体制」が確立しました。

 

福祉六法とは、生活保護法、児童福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法(当時は精神薄弱者福祉法)、老人福祉法、母子および寡婦福祉法の6つの法律のことです。

 

また、国民健康保険法の改正(1958[昭和33]年)、国民年金法の成立(1959[昭和34]年)により、「国民皆年金・皆保険体制」が成立しました(「国民皆年金・皆保険体制」は重要です)。

 

 

ただし、年金保険料の徴収など、実際の運用が始まったのは、1961(昭和36)年からです。

 

 

●昭和40年代

高度経済成長時代に突入し、老人医療費無料化など、社会保障が拡充されましたが、(1973[昭和48]年)の「石油危機」をきっかけに、福祉政策の見直しが余儀なくされました。

 

●昭和60年代~平成初期

この時期は、1981(昭和56)年の国際障害者年、1983(昭和58)年の国際障害者の十年を契機にノーマライゼーションの考え方が普及していく中、我が国では、少子高齢化が急速に進み、このころ社会保障制度も見直しの時期を迎えました。

 

社会福祉士及び介護福祉士法(1987[昭和62]年)、ゴールドプラン策定(1989[昭和元]年)、福祉八法改正(1990[平成2]年)などが行われました。

 

ここでいう福祉八法は、児童福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法(当時は精神薄弱者福祉法)、老人福祉法、母子および寡婦福祉法、社会福祉事業法(現社会福祉法)、老人保健法、社会福祉・医療事業団法の8つの法律で、生活保護法は入っていませんので、念のためご注意を。

 

この時期、福祉八法の改正により、高齢者・身体障害者施設への入所決定事務など多くの福祉に関する権限が、都道府県から市町村に移譲され、在宅福祉サービスと施設福祉サービスの一元化などが図られました。

 

また、介護従事者や介護施設の絶対的な不足に対し、数値目標を設定して計画が策定されるようになりました。

 

「ゴールドプラン」「新ゴールドプラン」「ゴールドプラン21」といいますが、参考までに3つのプランの概要を最下部に挙げておきます。

 

このほか、少子化対策に対応するため、1994(平成6)年にエンゼルプランが発表されています。

 

 

●平成12年以降

 

社会福祉事業法を社会福祉法に改正、介護保険法施行、民法を改正し成年後見制度施行(2000[平成12]年)、障害者自立支援法(2005[平成17]年)

 

1998(平成10)年に出された、「社会福祉基礎構造改革について(中間まとめ)」を受けて、2000(平成12)年に、社会福祉制度の抜本的な改革が行われました。

 

この改革は非常に重要な改ですが、主なものとしては、

・介護保険法の施行(措置制度から契約による福祉へ、多様な主体の参入による市場原理の導入など)

・障害者福祉においても措置制度から利用者の選択に基づく支援費制度に変わりました。

 ただし、障害者福祉関係の法律の改正は2000(平成12)年に行われましたが、支援費制度の実施は、準備期間を経て2003(平成15)年からです。

・社会福祉事業法の改正により制度の基本的な枠組みの転換が行われました(社会福祉法に改称されています)。

・成年後見制度の施行

などがあります。

 

・ゴールドプラン 高齢者保健福祉推進10か年戦略(平成元年)

ホームヘルパー10万人、ショートステイ5万床、特養24万床など

 

・新ゴールドプラン (平成6年)

「21世紀福祉ビジョン」が出され、ゴールドプランを見直し 利用者本位、自立支援、普遍主義、総合的なサービス提供、地域主義という基本理念 ホームヘルパー17万人、ショートステイ6万床、特養29万床など

 

・ゴールドプラン21 (平成12年)

各自治体の介護保険事業計画を踏まえて策定。平成16年までの5年間の計画 ホームヘルパー35万人、ショートステイ9.6万人分、特養36万人分など

 

 

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社会保障の基本的な考え方

 

◆社会保障とは

 

わが国では、「社会保障」という言葉は、生存権をうたっている憲法第25条に初めて規定されました。

 

社会保障は、広く国民に対して、個人の努力では対応できない、疾病、負傷、死亡、老齢、失業など、生活が困窮する原因となるリスクに対し、社会保険や公的扶助によって「公の責任」において、リスクを回避、またはリスクから回復させる制度です。

 

 

◆社会保障の分類

 

社会保障の国際的な基準としてはILO(国際労働機関)によって「社会の成員がさらされている一定の危険に対して適当な組織によって国民に提供される保障が社会保障である」として、高齢、遺族、障害、労働災害、保健医療、家族、失業、住宅、生活保護の9つに分類して国際比較を行っています。

 

日本では次の①~④ように4つに分類するのが一般的でした。

(⑤を含む5つの分類など様々な見方があります)

 

①社会保険:公的医療保険、国民年金保険(老齢年金・障害年金)厚生年金、介護保険、労災保険、雇用保険(失業保険)

 

②公的扶助:生活保護

 

③社会福祉:高齢者福祉、児童福祉、障害者福祉、母子福祉

 

④公衆衛生:公衆衛生、医療整備(伝染病対策、地域保健)

 

⑤老人保健:後期高齢者医療制度

 

最近では、社会保障の機能に基づき、次の3つに分類しています(上記4または5分類も大切ですが、まずはこちらを覚えましょう)。

 

①所得保障

所得の喪失や減少などに対し、現金給付により補てんするもの。生活保護、年金制度、雇用保険など。

 

②医療保障

疾病や障害などに対し、保健・医療サービスを受けることにより保障するもの。医療保険、医療制度など。

 

③社会福祉

個人による解決が困難な生活上の問題に対し、行政機関のサービスにより生活の安定・自己実現を支援するもの。児童福祉、障害者福祉、高齢者福祉など。

 

 

◆社会保障の機能

 

社会保障の機能には、①社会的セーフティネット機能、②生活安定・向上機能、③所得再分配機能、④リスクの分散機能、⑤家族機能の支援機能、⑥社会の安定、経済の安定・成長機能がありますが、①社会的セーフティネット機能、②生活安定・向上機能と③所得再分配機能は覚えておきましょう。

 

①社会的セーフティネット機能

社会保障には、何らかの理由で困窮に陥った場合でも「健康で文化的な最低限の生活」を保障する最後の手段としての機能があります。 この「最低生活の水準」を「ナショナル・ミニマム」と言います。

 

②生活安定・向上機能

社会保障制度により、生活を脅かすリスクを分散し(リスク分散機能)、生活の安定を図ります。

 

③所得再分配機能

社会保障は、所得の多い人から税金や社会保険料などの形で費用を徴収し、保障を必要とする人に給付するという「所得再分配機能」があります。 所得再分配には、所得税の累進課税のように、高所得の人から徴収し、低所得の人に給付するという「垂直的再分配」と、働いている人から、病気などで働けなくなった人へ所得を移転する「水平的再分配」があります。

 

 

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介護福祉士国試1問1答15

 

【問題】

 

71.ソーシャル・インクルージョンとは、「障害者と健常者が区別されることなく、社会生活をともにすることが正常なことである」という考え方である。

 

72.昭和20年代に施行された福祉三法とは、身体障害者福祉法、児童福祉法、老人福祉法である。

 

73.平成2年の福祉八法の改正により、高齢者および身体障害者の施設入所の権限が、都道府県から市町村に移譲された。

 

74.日本の皆年金・皆保険体制が成立したのは、昭和34年である。

 

75.2000(平成12)年の社会福祉基礎構造改革によって、社会福祉制度が措置制度から契約制度に転換された。

 

 

 

【答え】

 

71.×
記述はノーマライゼーションの説明。ソーシャル・インクルージョンとは、「社会的包摂」と訳され、「障害者を含むすべての人が社会から排除されることなく、社会の構成員として包みこむこと」をいう。

 

72.×
昭和20年代に制定された福祉三法は、旧生活保護法(昭和21年)、児童福祉法(昭和22年)、身体障害者福祉法(昭和24年)である。老人福祉法が成立したのは昭和38年。

 

73.○
福祉八法とは、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、児童福祉法、母子及び寡婦福祉法、社会福祉事業法、老人保健法、社会福祉・医療事業団法であり、この改正により、市町村における在宅サービスと施設サービスの一元化が図られた。

 

74.○
国民健康保険法の改正(1958〈昭和33〉年)、国民年金法の成立(1959〈昭和34〉年)により国民皆年金・皆保険体制が成立した。

 

75.○
介護保険制の施行、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、児童福祉法などの改正が行われ、契約制度に転換された。ただし、障害者制度における支援費制度の実施は、2003(平成15)年から。

 

 

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