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介護保険制度の動向

 

◆被保険者数、要介護認定者数、サービス利用状況

 

平成26年度介護保険事業状況報告から、現在の介護保険の状況を大まかに見ておきましょう。

 

・第1号被保険者(市町村に住所を有する65歳以上の者)数は、平成12年の2,242万人に比べ、3,302万人と約47%増加しており、特に75歳以上の後期高齢者が増えています。

 

・要介護(要支援)認定者数は平成12年の256万人に対し、605万人と約2.4倍に増えています。特に要支援1~要介護2の軽度者の増加が著しく、約65%を占めています。中でも要介護1・2の割合が多くなっています。

 

・サービス受給者数の比較では、平成12年の約184万人が約503万人と2.7倍以上の伸びになっています。 給付費(介護サービス費から自己負担分を除いた額)でみても、平成12年の3兆2,427億円に対し、8兆3,786億円とこちらも2.5倍以上になっています。

 

 

サービスの種別では、居宅サービス54.6%、地域密着型サービス11.4%、施設サービス34.0%となっています。

 

 

◆介護保険制度の改正

 

介護保険制度の改正は5年を目途に行うとされていますが、必ずしも5年でありません。また、介護報酬の改定、介護保険事業計画(市町村)・介護保険事業支援計画(都道府県)の策定は3年ごとに行うとされています。

 

参考までに過去の主な改正の流れを記載しておきます。

 

・2000(平成12)年4月

介護保険制度施行

 

・2003(平成15)年4月

最初の報酬改定(-2.3%)新型特養の位置付け

 

・2005(平成17)年10月

入所施設の食費と居住費(ホテルコスト)が自己負担に

 

・2005(平成17)年改正(2006〔平成18〕年4月施行)

最初の制度改正(新予防給付、地域密着型サービスの創設など)2度目の報酬改定(-0.5%)

 

・2009(平成21)年4月

3度目の報酬改定(+3%)

 

・2011(平成23)年改正(2012〔平成24〕年4月施行)

2度目の制度改正(地域包括ケアシステムの構築など)  4度目の報酬改定(+1.2%)

 

・2014(平成26)年改正(2015〔平成27〕年4月施行)

地域支援事業の充実と費用負担の公平化など

 

過去2度の改正(平成17、23年)の内容は以下の通りです。

 

また、2014(平成26)年改正については、最も出題されやすいと思われますので、次回お示しすることにします。

 

(1)2005(平成17)年の介護保険改正

 

2005(平成17)年の改正では、介護を必要とせず、自立した生活を送ることができる環境づくりを目指しました。

そこで、介護予防を中心に住み慣れた地域で自立した生活を送るための支援を総合的に受けられる体制がつくられました。

2005(平成17)年の改正(施行は平成18年4月)のポイントは以下の通りです。

 

①予防重視型システムへの転換

地域支援事業と新予防給付が創設されました。 このとき、要支援~要介護5の6段階が要支援1・2~要介護5の7段階に変更となりました。

 

②施設給付の見直し

これまで、介護保険施設に入所している人の居住費と食費(ホテルコスト)は介護給付の対象となっていましたが、利用者負担の公平性を保つため、全額自己負担となりました(所得の低い人には減額制度があります)。 この改正は、前倒しで平成17年10月から実施されています。

 

③新たなサービス体系の確立

地域ケアを推進するため、地域密着型サービスと地域包括支援センターが創設されました。

 

④サービスの質の確保・向上

・介護サービス情報の公表制度が施行され、事業者に事業所情報の公表が義務付けられました。

・事業者の指定に6年ごとの更新制を導入 ・介護支援専門員の資格に5年ごとの更新制を導入

 

 

(2)2011(平成23)年介護保険法改正

 

2011(平成23)年の改正では、高齢者が地域で自立した生活を営めるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが切れ目なく提供される「地域包括ケアシステム」の構築が大きな柱となっています。

 

2011(平成23)年の改正(施行は平成24年)のポイントは以下の通りです。

 

①医療と介護の連携の強化

地域包括ケアの推進、24時間対応の定期巡回・随時対応型訪問介護看護や複合型サービスの創設など

 

②介護人材の確保とサービスの質の向上

介護福祉士等によるたんの吸引等の実施が可能となる、介護職員処遇改善加算(それまでは交付金)の導入、介護サービス情報公表制度の見直しなど

 

③高齢者の住まいの整備等

有料老人ホームの利用者保護(前払金の返還規定など)、サービス付き高齢者住宅の供給促進など

 

④認知症対策の推進

市民後見人の活用、高齢者の権利擁護の推進など

 

⑤保険者による主体的な取組の推進

 

⑥保険料の上昇の緩和

 

国は、「地域包括ケアシステム」の構築を目指しています。日常生活圏域内(概ね中学校区)で上述した医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスなど様々なサービスを一体的、包括的に提供し、利用者のニーズに合わせて切れ目のない支援をしていこうというものです。この考え方と新設のサービスがポイントと思われます。

 

他に介護福祉士に関係のある「たんの吸引等の実施」などを押さえておきましょう。

 

 

介護保険制度の基本理念

 

◆保険給付の基本的理念

 

介護保険法第2条に規定されている保険給付の基本的理念は下記のとおりです。

 

①要介護状態・要支援状態の軽減・悪化の防止

②医療との十分な連携

③利用者の選択に基づく適切なサービスの総合的、効率的な提供

④多様な事業者・施設によるサービス提供

⑤在宅における自立した日常生活の重視

 

何度も出てくる言葉ですが、このようなキーワードは、何度も目にして体で覚えてしまいましょう。

 

問題のどこかで出てくると思いますので、介護保険制度の目的に出てきた「尊厳の保持」「自立した日常生活」「国民の共同連帯の理念」などと併せて、必ず正解しましょう。

 

また、介護保険制度は「在宅重視」が基本です。

介護保険法第2条でも、「可能な限り居宅において、その能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう・・・」とうたわれています。

 

このほか、平成23年の改正から「地域包括ケアシステム」が重要視されています。

このときに第5条が改正され、「国及び地方公共団体は、被保険者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、(中略)、医療及び居住に関する施策との有機的な連携を図りつつ包括的に推進するよう努めなければならないものとすること。」とうたわれました。

 

平成26年の改正でも、重要視されています。

 

 

◆保険事故と保険給付

 

「社会保険」のところでも述べたとおり、介護保険制度における保険事故は、「要介護状態」または「要支援状態」になることです。

 

保険事故が発生した場合に、被保険者に支払われる金銭や提供されるサービスや物品のことを「保険給付」といいます。

 

「保険給付」には、金銭で給付される「金銭給付」とサービスや物で提供される「現物給付」がありますが、介護保険制度は 「介護サービスの提供」という現物給付が中心となります(よく出ますので覚えておきましょう)。

 

 

◆国民の努力及び義務

 

介護保険法には、国民の努力と義務が規定されています。

 

忘れられがちですが、まれに問題に出ることもありますので、暗記する必要はないと思いますが、一応チェックしておきましょう。

 

①自ら要介護状態になることを予防し、常に健康の保持増進に努める。

②要介護状態になった場合に、進んでリハビリテーションその他の適切な保健及び医療サービス・福祉サービスの利用など、その有する能力の維持向上に努める。

③共同連帯の理念に基づき、保険事業の費用を公平に負担する。

④保険料等によるサービス費用等の自己負担を行う。

 

 

介護保険の保険者・被保険者、保険料

 

◆保険者と被保険者

 

介護保険制度の保険者は、市町村及び特別区(東京23区)であり、介護保険特別会計を設置して、一般会計と区別して管理することとされています。

 

小規模な市町村については、「広域連合」や「一部事務組合」などの広域自治体でも保険者となることができます。
介護保険の被保険者は、第1号被保険者と第2号被保険者の2種類があります。 下記の要件は、重要ポイントですので必ず覚えましょう。

 

第1号被保険者

①市町村の区域内に住所を有する(住所用件)

②65歳以上の者(年齢要件)

 

第2号被保険者

①市町村の区域内に住所を有する(住所用件)

②40歳以上65歳未満の者(年齢要件)

③医療保険加入者

 

第2号被保険者の住所用件・年齢要件を満たしていても、医療保険未加入の者は介護保険の被保険者となりません。

 

医療保険未加入者とは、ほとんどの人が生活保護受給者で、介護が必要になった場合は、生活保護法の中の介護扶助でのサービスを受けることになりますが、生活保護受給者の中には健康保険(被用者保険)に加入している人もいますので、「すべて」ではないことに注意しましょう。つまり生活保護を受けていても介護保険の第2号被保険者になり得るということです。

 

老人福祉施設などに1年以上入所する場合は、住所は施設の所在地になります。また、入院の場合は、1年以上の長期入院が必要な場合を除き、原則として元の住所になります。

(実際には住所を移さずに入所している人は相当数います。)

 

下記の施設に入所したことにより、施設所在地に住所を移した場合、住所は新しい所になりますが、介護保険の保険者は入所前の市町村となります(そうしないと施設のある市町村の介護給付費が高騰してしまいます)。

 

何ヶ所施設を移っても保険者は最初の市町村になります。

 

住所地特例対象施設

 

(1)介護保険施設(地域密着型老人福祉施設を除く)

  ・介護老人福祉施設

  ・介護老人保健施設

  ・介護療養型医療施設

 

(2)特定施設(地域密着型特定施設を除く)

  ・養護老人ホーム

  ・軽費老人ホーム

  ・有料老人ホーム

 

 ※平成27年4月1日から,有料老人ホームに該当するすべてのサービス付き高齢者向け住宅が対象施設となりました。

 

在日外国人については、適法に3か月以上在留し、市町村に住所を有すると認められる場合は、介護保険の被保険者となります。

 

 

◆保険料

 

介護保険は、社会保険方式であるため、強制的に保険料が徴収されます。 保険料は第1号被保険者と第2号被保険者によって異なります。

 

●第1号保険料

第1号被保険者の保険料は、市町村の実情に応じて定められ、市町村が徴収します。

第1号保険料については、一定額(年額18万円)以上の年金受給者は、年金から天引きされる「特別徴収」、無年金・低年金者の場合は、市町村が納付書を発行して納付する「普通徴収」(コンビニでの納付可)の方法で徴収されます。

基本的には「特別徴収」、低年金など特別の場合に「普通徴収」となっており、とても間違いやすい言葉です。十分注意しましょう。

 

●第2号保険料

第2号被保険者の保険料の流れは以下の通りです・

①医療保険の保険者が医療保険の保険料と一緒に徴収します。

②医療保険の保険者は、徴収した保険料を「社会保険診療報酬支払基金」に介護給付費納付金として納付します。

③社会保険診療報酬支払基金で保険料全体をプールします。

④社会保険診療報酬支払基金で保険料を市町村別に振り分け、介護給付費交付金として各市町村に交付します。

ここでも「介護給付費納付金」と「介護給付費交付金」など、非常に混同しやすい言葉が出てきます。

 

◆保険料を滞納した場合

 

被保険者が保険料を滞納した場合、次のような措置がとられます。

 

・要介護認定を受け、介護保険サービスを利用している場合

①現物給付を償還払いに(1割負担等で利用できず、一旦10割支払う)

②保険給付の支払いを一時差し止める(9割分等の差し止め)

③差し止められた保険給付から保険料を控除する

 

・要介護状態にない者

・第1号被保険者の場合、滞納機関に応じて給付率を9割等から7割へ引き下げ、高額サービス費の適用を行わない。

・第2号被保険者の場合、介護保険給付の一時差し止めを行うことができる。

 

 

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