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保健医療福祉に関する施策・感染症・難病対策

 

◆感染症対策

 

我が国の感染症は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」において、1類感染症から5類感染症と新型インフルエンザ等感染症、指定感染症、新感染症に分類されており、診断した医師に都道府県知事(保健所を経由)への報告基準等が定められています。

 

各分類ごとの感染症の種類と特徴などは、下表のとおりです。

 

分類特徴感染症名
1類感染症感染力が強く、重篤で危険性が極めて高い感染症エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、ペスト、ラッサ病、マールブルグ病、痘そう、南米出血熱
2類感染症危険性が高い感染症急性灰白髄炎、結核、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(SARS)、鳥インフルエンザ(H5N1)
3類感染症危険性は高くないが、特定の職業への就業によって集団発生を起こし得るものコレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス
4類感染症動物、植物などを介してヒトに感染し、国民の健康に影響を与えるおそれのあるものE型肝炎、A型肝炎、黄熱、Q熱、狂犬病、鳥インフルエンザ(H5N1を除く)、マラリアなど
5類感染症国が調査を行い、必要な情報を一般国民や医療関係者に提供・公開し、発生・拡大を防止すべき感染症後天性免疫不全症候群(AIDS)、梅毒、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、ウイルス性肝炎(A・E型を除く)、インフルエンザ、麻しんなど
新型インフルエンザ等感染症新型インフルエンザ、再興型インフルエンザ
指定感染症1~3類及び新型インフルエンザ以外で、これらに準じた対応が必要な感染症で、政令で1年以内の期間に限定して指定する鳥インフルエンザ(H7N9)
新感染症人から人に伝染する疾病で、既知の感染症と病状または治療の結果が明らかに異なるもので、病状が重篤であり、当該疾病が蔓延した場合に国民の命や健康に重大な影響を与えるおそれがあるもの現在該当なし

 

すべての感染症を覚える必要はありませんが、インフルエンザ関連、腸管出血性大腸菌感染症、MRSA、肝炎などのほか、下記のポイントをチェックしておきましょう。

 

結核は、昭和の初めごろから1950年ごろまで、日本の死亡原因のトップでしたが、その後の医療の発達により、患者数は急速に減少しました。 ところが1997(平成9)年から再び患者数が増加し、1999年に「結核緊急事態宣言」が出されました。

 

これを受け、2006(平成18)年の感染症法改正では、結核予防法が同法に統合され、結核が2類感染症に指定されました。

 

近年の感染症に関する特徴として、「新興感染症」と「再興感染症」があげられます。

 

新興感染症とは、SARSや新型インフルエンザなど今まで知られていなかった感染症で、近年数多く出現しており、再興感染症とは、結核やマラリアなど克服されたと考えられていた感染症のことを指し、その増加が問題とされています。

 

 

◆難病対策

 

難病に関する明確な定義はなく、いわゆる「不治の病」というような社会通念上の言葉で、ある病気が難病かどうかというのは、その時の医療の水準によって変化します。

 

現在の日本での難病の定義は、平成26年に成立した「難病法(正式名称:難病の患者に対する医療等に関する法律)」において、

  • 発病の機構が明らかでない
  • 治療方針が確立していない稀少な疾病
  • 長期にわたり療養を必要とする

 

と定義されています。

 

難病法に基づく難病医療費助成制度の対象となる疾患を「指定難病」といい、平成29年4月現在330疾患が指定されています。

 

また、平成25年から障害者総合支援法の障害の範囲に難病等が含まれることとなり、障害者自立支援制度によるサービスが受けられるようになりました。

 

なお、こどもの慢性疾患については、平成26年の児童福祉法の改正により、児童等の健全育成の観点から、患児家庭の医療費の負担軽減を図るため、小児慢性特定疾病医療費の支給が法制化されました。

 

平成29年4月現在、14疾患群722疾病が対象となっています。

 

 

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保健医療福祉に関する施策・病院・診療所、医療専門職

(1)病院と診療所

 

 

病院や診療所などの医療施設は、医療法によって「公衆または特定多数人のため医業または歯科医業を行う場所」とされ、種別の定義や人員配置、構造設備の基準などが定められています。

 

医療法では、下記のような病院・診療所のほか、厚生労働大臣が承認する病院が規定されています。

 

  • 病院:医師または歯科医師が医療を提供する場所で、20人以上の患者を入院させる施設
  • 診療所:患者を入院させる設備を有しない、または19人以下の患者を入院させる施設

 

さらに病院には下記のような病床が定義されています。

 

  1. 精神病床:病院の病床のうち、精神疾患を有する者を入院させる病床
  2. 感染症病床:病院の病床のうち、感染症法に規定されている1類感染症、2類感染症(結核を除く)、新型インフルエンザ等、新感染症の所見がある者を入院させる病床
  3. 結核病床:病院の病床のうち、結核患者を入院させる病床
  4. 療養病床:病院または診療所の病床のうち、上記1~3以外で、主として長期にわたり療養を必要とする患者を入院させる病床
  5. 一般病床:病院または診療所の病床のうち、上記1~4以外の病床

 

 

また、医療法では、病院の機能によって以下のような病院が位置づけられています。

  1. 特定機能病院:高度な医療技術や設備をもち、特定の診療科を有するなどの条件を満たし厚生労働大臣が承認した病院
  2. 地域医療支援病院:地域の他の医療機関を支援することを目的とし、地域医療の中核を担う病院としての設備を有するもので、都道府県知事が承認した病院
  3. 臨床研究中核病院:革新的医薬品・医療機器等の開発を推進するため、国際水準の臨床研究等の中心的役割を担う病院で厚生労働大臣が社会保障審議会の意見を聴いた上で承認する

 

このほか医療法では、保健医療サービスが提供される場について、「医療提供施設はその機能に応じ効率的にかつ、福祉サービスその他関連するサービスとの有機的な連携を図りつつ提供されなければならない」とされていますが、社会福祉士及び介護福祉士法においても、「介護福祉士は他の福祉サービス従業者と医師等の医療保健サービス従事者との連携を保たねばならない」としており、医療と福祉の連携は重要なポイントとなっています。

 

また、現在では「インフォームド・コンセント」と「セカンド・オピニオン」が制度化されており、患者側の自己決定権などの権利が守られるようになりました。

 

インフォームド・コンセントとは、「説明に基づく同意」と訳され、患者の状態や治療方法、検査の目的や内容を患者に分かる言葉で正しく説明することが義務付けられています。 治療の危険性も正しく説明し、拒否も含めて同意を得ることが必要です。

 

セカンド・オピニオンとは、「第二の意見」という意味で、診断や治療方針について主治医以外の医師の意見を聞くこといいます。 これによって患者が納得して主治医の治療を受ける(拒否も可)ことができるようになります。主治医を代えることが目的ではありません。

 

 

(2)医療の専門職

 

医療を提供する場面では、様々な専門職が業務を行っています。 ここでは、それぞれの専門職の業務内容を大まかに理解しておきましょう。

 

  • 医師(医師法)
    医業(診断、投薬、手術、生理学的検査など)を行う。
    医師は業務独占の国家資格であり、医師でなければ医業を行ってはならない。
  • 保健師(保健師助産師看護師法)
    保健指導を行う。
    看護師の業務である診療の補助及び療養上の世話も行うことができる。
  • 助産師(保健師助産師看護師法)
    助産または妊婦、じょく婦もしくは新生児の保健指導を行う。
    医師と助産師のみが助産行為を行うことができる。また看護師の業務も行うことが
    できる。
  • 看護師(保健師助産師看護師法)
    傷病者もしくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行う。
  • 理学療法士(理学療法士及び作業療法士法)
    身体に障害のある者に対し、医師の指示に基づきリハビリテーションを行う
    主として治療体操、電気刺激、マッサージなどの理学療法を行い、身体能力
    の回復・改善を図る。
  • 作業療法士(理学療法士及び作業療法士法)
    身体に障害のある者に対し、医師の指示に基づきリハビリテーションを行う
    主として手芸や工作などの作業を通して、動作能力、社会的適応能力の回復を図る。
  • 言語聴覚士(言語聴覚士法)
    言語や聴覚に障害のある人や嚥下等に問題のある人に対し、その機能の維持向上や
    社会復帰等の支援を行う。
  • 歯科衛生士(歯科衛生士法)
    歯科予防処置、歯科診療の補助、歯科保健指導を行う。

 

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生活保護制度・制度の概要

 

生活保護制度は、社会保障制度の中で公的扶助に位置付けられ、全ての国民に対して「最低限度」の生活を保障するとともに、「自立の助長」を目標としています。

 

我が国の生活保護受給者は年々増加しており、大きな社会問題となっていますが、

平成28年12月時点での生活保護受給者は、前月から680世帯増の164万205世帯となり、過去最多となりました。

1人暮らしの高齢者世帯の増加が主な要因とされ、受給者数自体はは263人減の214万5667人でした。

 

 世帯別では、65歳以上の高齢者世帯が前月から644世帯増の83万8386世帯で、生活保護を受給している世帯のうちおよそ半数が高齢者世帯となっています。

 

このような社会的背景を反映して、様々な困りごとを抱える生活困窮者の自立を促すため、平成25年に「生活困窮者自立支援法」が制定されました(施行は平成27年)。

 

まずは、生活保護法の概要についてみていきましょう。

 

 

(1)救貧制度の発展

 

わが国で最初の統一的な公的扶助制度は1874(明治7)年の「恤救(じゅっきゅう)規則」です。 当時の救貧政策は、血縁的な助け合いの精神を基本としており、恤救規則では、それに頼ることができない身寄りのない者、労働不能の70歳以上の者、障害者などを対象とする限定的なものでした。

 

その後、1929(昭和4)年に「救護法」を経て、1946(昭和21)年に「旧生活保護法」、1950(昭和25)年に現行の「生活保護法」が制定されました。

 

現行の「生活保護法」は、憲法第25条の「生存権」を具現化する法律であり、国家の義務として、生活に困窮するすべての国民を対象としています。

 

生活保護法はとても出題されやすい分野ですので、用語の意味などをしっかり覚えましょう。

 

 

(2)生活保護の原理・原則

 

生活保護には「4つの原理」と保護を実施するための「4つの原則」があります。 どれも重要ですので、その意味も合わせて覚えましょう。

 

◆生活保護の原理

 

  1. 国家責任の原理
    すべての国民に対し、国家責任のもとに、必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともにその自立を助長する。
  2. 無差別平等の原理
    すべての国民は、身分や困窮の原因などによらず、無差別平等に保護を受けることができる。
  3. 最低生活保障の原理
    この法律により保障される水準は、健康で文化的な最低限度の生活を保障するものである。
  4. 保護の補足性の原理
    保護は、保護を受ける人が利用しうるあらゆる資産や能力、扶養義務者の扶養、他の法による扶助を活用しても、なお最低限度の生活ができない場合に補足的に行われる。

 

◆生活保護の原則

 

  1. 申請保護の原則
    保護は、要保護者、その扶養義務者又はその他の親族の申請に基づいて開始する(申請がなければ開始しない)。ただし、要保護者が急迫した状態の場合は申請がなくても保護を行うことができる。
  2. 基準及び程度の原則
    保護は厚生労働大臣の定める基準により測定した需要に基づき、その人のもつ金銭等を活用した不足分を補う。
     この基準は、年齢、性別、世帯構成、所在地その他保護の種類に応じたものが定められている。
  3. 必要即応の原則
    保護は、要保護者の年齢、性別、健康状態等による実際の必要性に応じて、有効で適切に行われる。
  4. 世帯単位の原則
    保護は世帯を単位として行われる。ただし、これによりがたいときは個人を単位とすることができる(世帯分離)。

 

 

(3)保護の種類

 

生活保護には8種類の扶助があります。問題に出やすいので必ず覚えましょう。特にすぐに思い浮かばない、生業扶助や葬祭扶助などは要注意です。

 

  1. 生活扶助
    日常生活の需要を満たすための費用。第1類(個人単位)として食費、被服費等、第2類として光熱水費等がある。
    この他、移送費、地域別の冬季加算、施設入所者の生活費などがある。
  2. 教育扶助
    義務教育に必要な学用品や給食費、交通費等の費用
  3. 住宅扶助
    借家、借間の家賃、自己所有の住居に対する土地の地代などと、修繕費などの住宅維持費
  4. 介護扶助
    要介護状態等にある被保護者が介護サービスを受けた場合に支給される。
    介護保険の被保険者の場合は、補足性の原理により、介護保険の給付が優先され、自己負担部分に対し保護が適用される(施設入所者の食費の負担も保護が適用)。
    被保険者でない場合は、介護サービスが現物給付される。
  5. 出産扶助
    助産及び分娩に伴って必要となる衛生材料費等
  6. 生業扶助
    生業費(小規模の事業を営むための資金・器具・資料等)、技能習得費、就職支援費(就職に必要な洋服類等の費用)
  7. 葬祭扶助
    被保護者が死亡した場合の遺体の検案、運搬、火葬、埋葬等の費用
  8. 医療扶助
    入院、診察、手術、薬剤、治療材料、移送費等
    保護には、必要な物品を購入するための費用を金銭によって給付・貸与する「金銭給付」と、金銭以外の物品や医療、介護などのサービスを給付・貸与する「現物給付」の方法があります。
    保護の8種類のうち、介護扶助と医療扶助は原則として「現物給付」、それ以外は原則として「金銭給付」により給付が行われます(ともに例外あり)。

 

 

※介護扶助についての補足

 

生活保護と介護保険の関係は、出題されやすいので整理しておきましょう。

 

まず、65歳以上の人と40歳以上65歳未満の人で医療保険加入者の場合は、介護保険の被保険者となりますので、補足性の原理によって介護保険が優先されます。

 

介護保険のサービスを利用した場合は、9割を介護保険から、1割の自己負担を生活保護の介護扶助から支給されます(居宅介護支援費は10割介護保険からの支給です)。

 

施設入所者の食費や居住費などの自己負担分も介護扶助からの支給されます。

介護保険の保険料は、生活保護の生活扶助から支給されます。

 

40歳以上65歳未満の医療保険未加入者(ほとんどの被保護者が該当します)は介護保険の被保険者ではありませんので、介護保険の適用もありません。
同様のサービスはすべて生活保護の介護扶助から支払われますし、当然介護保険の保険料は支払いません。

 

 

(4)保護施設

 

保護施設は、居宅において生活を営むことが困難な者を入所・利用させる施設で、以下の5種類があります。

 

  • 救護施設
    心身の著しい障害があるために日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させて生活扶助を行う施設
  • 更生施設
    心身上の理由により養護及び生活指導を必要とする要保護者を入所させて、生活扶助を行う施設で、要保護者の社会復帰を目的とする。
  • 医療保護施設
    医療を必要とする要保護者に対して、医療の給付を行うことを目的とする施設。
  • 授産施設
    心身上の理由又は世帯の事情により就業能力の限られている要保護者に対して、就労又は技能の修得のために必要な機会及び便宜を与えて、その自立を助長することを目的とする施設。
  • 宿所提供施設
    住居のない要保護者の世帯に対して、住居扶助を行うことを目的とする施設

 

(5)保護受給者の権利と義務

 

生活保護受給者の権利

 

  • 正当な理由なく、保護費を減らされるなど。すでに決定された保護の内容を変更されることはない
  • 保護により支給された金品には、税金をかけられたり、差し押さえられたりすることはない

 

生活保護受給者の義務

 

 

  • 届出、指示に従う義務
  • 保護を受ける権利を他人に譲渡することはできない
  • 能力に応じた勤労、支出の節約、生活の維持向上に努めなければならない

 

 

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